中小企業のためのコンプライアンス・チェックシート
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
日本弁護士連合会(日弁連)が、「中小企業のためのコンプライアンス・チェックシート」を作成・公開しているので、今回はそれについて書きます。
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日弁連のWebサイトによると、このコンプライアンス・チェックシートは、『企業・個人事業者のみなさまが、経営に関する法的トラブルの可能性に気付く「きっかけ」として』作成されたようです。
さて、このコンプライアンス・チェックシートの内容ですが、最初に次のような項目のチェックシートが記載されており、後半に「解説編」として、チェックシートに記載された各項目に関する【具体的ケース】と【弁護士の意見とアドバイス】が開設されています。
- 会社の基本的なルール(株主総会・取締役・監査役)について
- 株主は複数いるが、株主総会を開く予定はない
- 株主総会は開くが、書面で招集通知はせず、一部の株主しか出席しない
- 取締役会はあるが、実際に開く予定はない
- 株主総会や取締役会の議事録を作っていない
- 会社の定款がどこにあるかわからない
- 株主は複数いるが、株主名簿は作成していない
- 親族や知人が監査役になっているだけで会計監査はしていない
- 弁護士は費用が高いイメージがあるので利用したことがない
- 職場の基本的なルール(労働問題、セクハラ、パワハラ)について
- 会社の就業規則は作っていない
- 気に入らない従業員や能力のない従業員はクビにしてもよい
- 労働組合に入った従業員には辞めてもらうことにしている
- 従業員が自主的に残業してくれているので、残業手当はないし、「36協定」も必要ない
- タイムカードや出勤簿などで従業員の労働時間を管理していない
- セクハラやパワハラは従業員同士の問題で会社の問題ではないと思う
- 結婚や出産をした女性従業員は辞めてもらう
- 「働き方改革」関連の法律は中小企業とは無関係だと思っている
- 取引先との契約について
- 取引先との間で契約書を作成したことがない
- 取引先との間で契約書の締結をしたが中身を見ていない
- 取引先から支払条件や代金について一方的に不利な要求をされている
- 取引先から商品購入の際、不要な商品も一緒に買うように求められている
- 取引先に暴力団関係者がいるので不利な条件で取引を求められている
- 顧客名簿を従業員が自由に社外に持ち出せる
- 名簿業者から顧客名簿を買ったことがある
- 裁判沙汰はないので弁護士は必要ないと思う
- 債権管理・債権回収について
- 受注のほとんどを口頭で行っている
- 受注した後に契約条件を口約束で変更することがよくある
- 受発注の内容を社内の帳簿できちんと管理できていない
- 入金予定日に代金が入ってこなくても放置することがある
- 取引を始める際、相手方の経営状況を全く確認しない
- 取引先の会社が潰れたとしても、社長個人に請求すればよいと考えている
- 取引先の社長が口頭で自宅を担保に入れると言ってくれているので安心だ
- 取引先が倒産したときに取引先の商品を勝手に持ち帰ったことがある
- 消費者との関係(表示の問題、特定商取引法など)について
- 自社の商品の広告には、正直、少し大げさなところがある
- クーリング・オフという言葉の意味を知らない
- 認知症の方との契約も署名捺印してもらった以上は全て有効と思う
- 消費者契約法という法律があるのを聞いたことがない
- 契約書に「商品事故は一切責任を負わない」と書いているので安心だ
- 自社商品の取扱説明書に安全性に関する注意が記載されていない
- 営業秘密や知的財産(特許・商標・著作権など)について
- 顧客名簿や重要なノウハウがあるが社内で秘密として厳重に管理していない
- 重要な営業秘密を提供するにあたって秘密保持契約を結ばない
- 他者から従業員を引き抜き他社の営業秘密を入手したことがある
- 他社の製品の共同開発を行うにあたって契約書を交わさない
- 他人のホームページに良いフレーズがあったので自社の宣伝に使っている
- 他者の売れ筋商品の名前を模倣して販売したことがある
- コンピュータなどのITの関係について
- コンピュータウィルスの対策を行っていない
- メールで添付ファイルを送る際にパスワード設定を行わない
- フェイスブックやツイッターでの情報漏えい防止を従業員に注意していない
- インターネットで通信販売をしているが法律上の規制を意識したことがない
- 販促として電子メール広告を行っているが法律上の規制を意識したことがない
- 汎用パソコンソフトを複数のコンピュータに使い回している
このように様々な項目についてチェックすることができるようになっています。
これらの項目をチェックして気になったことがあった場合には、弁護士に相談するのもよいと思います。
ただし、これらの項目のうち、5および6については、弁理士の方が適している場合もありますので、弁理士に相談してもよいと思います。
弊所では、5および6に関するご相談も、もちろん承っております。
これらの項目で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。