ブレグジットによる英国の産業財産権の影響
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2020年1月31日に、英国がEUから離脱いたしました。
これを受けて、2月4日に、特許庁は「英国のEU離脱(ブレグジット)による特許・商標・意匠への影響」というタイトルのプレスリリースを行いましたので、今回はそれについて書きます。
特許庁のプレスリリース「英国のEU離脱(ブレグジット)による特許・商標・意匠への影響」はこちら
このプレスリリースによると、英国(イギリス)における産業財産権の取扱いは次のようになります。
- 特許
英国のEU離脱は、現在の欧州特許制度には影響を与えず、英国をカバーする既存の欧州特許も影響を受けない。これは、欧州特許庁(EPO)はEUの機関ではないからです。
また、英国に拠点を置く欧州特許弁理士は、引き続きEPOに対して出願を代理できる。 - 商標
英国はEU商標制度の構成国の一部のままとなり、EU商標による保護は英国に及び、マドリッド制度を通じて保護されるEUを指定する商標の国際登録の効果も引き続き英国に及ぶ。
ただし、移行期間終了後は、EU商標制度によって保護される商標は英国においては保護の対象とされなくなるが、移行期間の終了時(2021年1月1日)に、イギリス知的財産庁(UKIPO)は、既存のEU商標を有する全ての権利者に同等の英国商標を付与する(離脱協定第54条)。 - 意匠
英国は欧州登録共同体意匠制度及び非登録共同体意匠制度の構成国の一部のままとなり、登録共同体意匠及び非登録共同体意匠による保護は英国に及び、ハーグ制度を通じて保護されるEUを指定する意匠の国際登録の効果は、引き続き英国に及ぶ。
ただし、移行期間の終了時(2021年1月1日)に、登録共同体意匠、非登録共同体意匠、及びEUを指定して保護された意匠の国際登録の効果は、英国においては有効ではなくなるが、これらの権利は、直ちにかつ自動的に英国の権利に置き換えられる(離脱協定第54、56条)。
また、出願人は、2021年1月1日時点で係属中の登録共同体意匠出願を有する場合、2021年1月1日の後9か月以内に英国意匠を登録するために出願することができ、係属中の登録共同体意匠の先の出願日を維持できる(離脱協定第59条)。この場合、通常の英国の料金体系が適用される。
このように、ブレグジットの影響は、産業財産権にも及ぶことになりますが、実際の貿易関係と比べると、比較的影響が小さく、基本的には英国ではブレグジット後も産業財産権が保護されることになります。
これで安心して英国に産業財産権を出願することができると思います。
弊所では、英国への特許・意匠・商標出願に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。