「型取引の適正化推進協会報告書」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2019年12月11日に、経済産業省から「型取引の適正化推進協会報告書」が公表されましたので、今回はこれについて書きます。
「型取引の適正化推進協会報告書」はこちら
この報告書は、型を使用して部品の製造を行う場合において、発注側企業および受注側企業が取引類型ごとに、型をどのように取り扱うべきかについて、最終製品組立企業、部品受発注企業、型製作企業等の型に関わる事業者間で、型の取扱いを定める際や、型の取引の現場での実際の判断における基本的な考えを示すために作成されました。
型取引に関わっている企業では、今後必読の資料になると思います。
さて、この報告書ですが、次のような目次になっています。
- 本協議会設立の背景と目的
- 製造業における型の位置付け、型の有する特性
- 本協議会設立の背景
- 型管理の問題の顕在化
- 型管理の問題への取組
- 型取引の実態の把握及び新たな課題の把握
- 本協議会設立の目的
- 本報告書の位置付け等
- 型取引適正化に係る課題
- 総論
- 型取引の基本的な考え方・基本原則について
- 型に関する取引の3つの類型
- 類型ごとの型取引の基本的な考え方・基本原則について
- 型に関する取引条件の曖昧さについて
- 受注側企業による資金繰り負担について
- 適正対価を伴わない受注側企業による型の長期保管について
- 型の廃棄・返却、保管費用項目の目安について
- 国、産業界等が行う環境整備
- 振興基準、業種別ガイドライン、自主行動計画の改正
- 本報告書のきめ細やかな周知徹底
- 型取引適正化に向けたPDCAサイクルの徹底
- 発注側企業の留意するべき事項
- 附属資料(省略)
詳細は、この報告書を読んでもらえばと思いますが、最初に型取引の類型を次の3つに分けていることが特徴です。
- (A) 型のみ又は部品と型の双方を取引対象(請負等)とする取引
- (B) 取引の対象は部品であるものの、型についても、部品に付随する取引として型製作相当費の支払いや製作・保管等の事実上の指示を行う場合
- (C) 発注側企業が、型そのものを取引対象としないで、かつ、型に関して、型製作相当費の支払いや製作・保管等の指示を全く行わず、受注側企業の判断で型管理を行う場合
そして各型取引の類型ごとの論点を抽出し、その論点に対する基本的な考え方が示されています。
ちなみに、この報告書の中でも知的財産の取扱いが記載されています。
例えば、「⑤型の製作技術・ノウハウ流出について」では、
「型やその図面には、型の製作者(企業)の独自ノウハウが含まれている。型の技術、ノウハウを知的財産と捉え、これらが保護されるような取り決めを行うべきである。
発注側企業が、受注側企業の意思に反してノウハウを提供させてはならない。提供することに合意があった場合でも無償提供は認められず、適正な対価を支払うこととする。」
と記載されています。
そして、基本原則⑤として、「秘密保持契約を含めた取り決めの書面化及び型の製作技術・ノウハウに対する対価の支払い」に関する考え方が示されています。
型に関する知的財産の取扱いに悩んでいる方は、この資料を是非読んでください。
弊所では、型取引に関する知的財産の取扱いについてのご相談も承っております。
何かありましたら、是非弊所にご相談ください。
今日は以上です。