「AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
最近は、新聞等で「AI」という文字を見ない日はないというくらい「AI(人工知能)」に関する情報が溢れかえっていますね。
「AI」はどこまで身近な存在になっていくのでしょうか?
さて、以前のブログで、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(データ編)」をご紹介しましたが、今回はその改訂版(1.1版)が公表されましたので、それについてご紹介します。
この改訂版は、2019年7月に施行された改正不正競争防止法に新たに規定された「限定提供データ」や、それに関連する「限定提供データに関する指針」等の検討結果を反映させたものとなっています。
なお、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」については、今回は改訂されていません。
「AI・データの利用に関する契約ガイドライン1.1版(データ編)」はこちら
さて、今回の改訂版の内容ですが、基本的には、以前ご紹介した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(データ編)」とは大きく変更されていません。
主な変更点は、「第3 データ契約を検討するにあたっての法的な基礎知識」の(2)の「不正競争防止法による保護」の部分になります。
2019年7月に施行された改正不正競争防止法では、新たに「限定提供データ」という概念が導入されました。
そして、今回の改訂版では、「限定提供データ」の要件およびそれを不正取得等した場合には、不正競争防止法に基づく民事上の救済(差止請求、損害賠償等)を受けられることが、より詳しく記載されています。
また、「第7 主な契約条項例」の解説においても、「限定提供データ」と「個人情報」との関係について解説が追加されています。
例えば、
「本条項例では、提供データに個人情報を含まないとしているが、個人情報が含まれる場合は、少なくとも下記のような規定を設けることが望ましい。ただし、下記第 2 項のような保証がなされたとしても、データ受領者は、データ提供者が個人情報保護法により必要とされる手続を履践していないことについて悪意である場合またはそれを知らなかったことについて、取引上の慣行に照らし、悪意と同視しうるほどの重大な過失がある場合には、当事者の公平の見地に照らし、データ提供者に対して、保証責任を追及することはできない場合があると考えられる。」
と解説されています。
「限定提供データ」を想定した契約書を作成・検討する際には、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン1.1版(データ編)」をご覧になっておくことをお勧めいたします。
弊所では、データ提供型契約書やデータ創出型契約書の作成も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。