こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
「不正アクセス禁止法」という法律をご存知でしょうか?
正式名称は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」で、警察庁が所管する法律になります。
この法律は、名称が示す通り、コンピュータ等への不正アクセスを禁止するための法律になります。
何故この法律を?と思われる方もいると思いますが、不正競争防止法に定める営業秘密が漏洩する原因は、外部からのハッキング等ではなく、従業員(契約社員を含む)による不正アクセスによることが多いと言われています。
そこで、従業員等に対して営業秘密について教育する場合には、不正競争防止法だけでなく、不正アクセス禁止法も併せて説明した方が良いと思われます。
不正アクセス禁止法については、警察庁が分かり易い解説書(不正アクセス行為の禁止等に関する法律の解説)を公表しているので、今回はそれについて書きます。
「不正アクセス行為の禁止等に関する法律の解説」はこちら
さて、この解説書ですが、次のような目次となっています。
- 法の目的、基本構成(第1条関係)
- 法の目的
- 法の基本構成
- 定義
- アクセス管理者(第2条第1項関係)
- 識別符号(第2条第2項関係)
- アクセス制御機能(第2条第3項関係)
- 不正アクセス行為の禁止、処罰(第2条第4項、第3条、第11条関係)
- 他人の識別符号を悪用する行為(第2条第4項第1号)
- コンピュータプログラムの不備を衝く行為(第2条第4項第2号、第3号)
- 他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止、処罰(第4条、第12条第1号関係)
- 不正アクセス行為を助長する行為の禁止、処罰(第5条、第12条第2号、第13条関係)
- 他人の識別符号を不正に保管する行為の禁止、処罰(第6条、第12条第3号関係)
- 識別符号の入力を不正に要求する行為の禁止、処罰(第7条、第12条第4号関係)
- アクセス管理者による防御措置(第8条関係)
- 都道府県公安委員会による援助等(第9条、第10条関係)
- 都道府県公安委員会による援助(第9条関係)
- 国による広報啓発活動(第10条関係)
不正アクセス禁止法自体は、全14条からなるコンパクトな法律となっています。
ただし、コンピュータに関係する法律となっているため、条文が非常に読みにくいものとなっています。
例えば、不正アクセス禁止法2条2項には、
『当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならないものとされている符号』
と規定されていますが、これだけを読んでもよく分からないと思います。
一方、この解説書では、
『一般によく用いられているID・パスワードのうちのパスワードがこの代表例です。
なお、ID・パスワードの場合、第1号の符号に該当するパスワードのみでは識別符号の用をなさず、IDと組み合わせて初めて識別符号としての役割を果たすことになります。そのため、IDは、第1号の符号に該当する符号(パスワード)と組み合わせて用いられる「その他の符号」になります。IDとパスワードを組み合わせることによって、第1号の符号に該当するパスワードとその他の符号であるIDを「組み合わせた」識別符号になります。』
と解説されています。
これを読めば、条文を内容を理解することができるのではないでしょうか?
このように、分かりにくい条文をかみ砕いて解説しているので、比較的分かり易いものとなっています。
ちなみに、この解説書には、下図に示す模式図が掲載されており、不正アクセス禁止法の全体像が分かるようになっています。
不正アクセス禁止法を学習する際には、まずこの解説書を読まれることをお勧めいたします。
この解説書は全17ページとなっていますので、僅かな時間で不正アクセス禁止法の概要を理解することができます。
この解説書だけでは足りず、さらに不正アクセス禁止法を理解したいという場合には、次の「逐条 不正アクセス行為の禁止等に関する法律〔第2版〕」を購入してみては如何でしょうか?
(弊所でも購入済みです。)
不正アクセス禁止法に関しては、最も詳しい資料の1つだと思います。
弊所では、不正アクセス禁止法の解説を含む営業秘密に関するセミナーのご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
※「不正アクセス行為の禁止等に関する法律の解説」のリンク先が変更になっていたので修正(2024/7/7)