改正民法に関するパンフレット(売買、消費貸借、定型約款等の契約)がありますよ
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
改正民法に関連
して、民法(債権法)、保証制度、損害賠償権に関するパンフレットをご紹介しましたが、今回は、売買等について解説したパンフレット「改正民法に関するパンフレット(売買、消費貸借、定型約款等の契約)」をご紹介します。
改正民法に関するパンフレット(売買、消費貸借、定型約款等の契約)はこちら
このパンフレットでは、改正民法のうち、売買,消費貸借,定型約款などの契
約に関する新ルールについてについて解説されています。
さて、このパンフレットの内容ですが、次のようになっています。
- 売買契約に関するルールの見直し
- 売主が引き渡した目的物が種類や品質の点で契約内容と異なっていたり、
数量が不足していた場合(契約内容に適合していなかった場合)に、売主が負う責任に関するルールの見直し - 契約を解除するための要件の見直し
- 売主が引き渡した目的物が種類や品質の点で契約内容と異なっていたり、
- 消費貸借契約に関するルールの見直し
- 消費貸借契約の成立に関するルール
- 契約で定めた期限より前に目的物を返還する場合に関するルール
- 保証に関するルールの見直し
- 極度額の定めのない個人の根保証契約は無効に
- 公証人による保証意思確認の手続を新設
- 約款(定型約款)を用いた取引に関するルールの見直し
- 定型約款が契約の内容となるための要件
- 定型約款を変更する場合のルール
- 経過措置
詳細は、このパンフレットをご覧になっていただければよいと思いますが、簡単に説明します。
まず、今回の改正により、次の表にあるように、売主と買主のいずれに帰責事由があるかによって、売主に対して、損害賠償請求や解除の他、修補や代替物の引渡しなど完全な履行を請求することや、代金の減額を請求することができるようになります。
また、今回の改正により、債務を履行しなかった者に帰責事由がない場合であっても、その相手方は売買契約を解除することができることになります。
これらの改正は、知的財産関連の契約でも重要な変更になりますので、キチンと抑えておく必要があると思います。
特に、解除に関しては、長期間の契約になるライセンス契約で重要な項目で、改正前の民法ではどのように規定すれば無効にならないか検討する必要がありましたが、今回の改正により、「民法が改正されたので、改正民法と同様の取扱いにしましょう」と相手を説得して、ライセンサーにとって解除しやすいライセンス契約にすることができるようになると思います。
次に、書面で合意しておけば、目的物が借主に交付される前でも消費貸借契約を成立させることができますし、借主は、目的物が交付されるまでは、契約を解除することができるようになります。
また、借主は、返還時期の定めの有無にかかわらず、いつでも目的物を返還することができるようになります。
消費貸借については、大学や国立研究開発法人等の公的研究機関が、サンプル(研究試料)提供契約を締結するときに効いてくるかもしれません。
ただ、従来から改正民法と同様な契約をしていることが多いともうので、実質的な変更はあまりないかもしれません。
さらに、改正民法に関するパンフレット(保証制度)のブログにも書きましたが、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効になり、公証人による保証意思確認の手続が新設されています。
最後に、今回の改正では、定型約款について、定型約款が契約の内容となるための要件と、定型約款を変更する場合のルールが新設されました。
定型約款については、BtoCのソフトウェアライセンス等のように、大量のライセンシーと契約を行う場合には、必要となる仕組みになります。
新たな仕組みですので、概要だけでも是非確認してください。
なお、法務省からは、改正民法に関するパンフレット(賃貸借契約)も公表されていますが、知的財産関連の契約とはあまり関連性がないので、ご紹介は割愛します。
改正民法に関するパンフレット(賃貸借契約)はこちら
このように、改正民法はさまざまな事案に関係してきますので、このパンフレットを是非読んでみてください。
概要がよく分かると思います。
弊所では、知的財産関連の侵害訴訟や民法を含む知的財産に関する契約のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。