アメリカ合衆国との租税条約を改正する議定書が発効しました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2013年1月24日に、アメリカ合衆国との間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約を改正する議定書」が署名されました。
そして、やっと2019年(令和元年)8月30日に、この改正議定書が発効しますので、今回はこのことについて書きます。
財務省のプレスリリースによると、2019年8月30日に、上記改正議定書をを発効させるための批准書の交換が東京で行われました。
その結果、我が国では、次の事項が適用されることになりました。
- 源泉徴収される租税に関しては、効力を生ずる日の3ヶ月後の日の属する月の初日以後に支払われる額
- その他の租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度
この条約により、投資所得(配当及び利子)に対するは、源泉地国免除の対象が次のとおり拡大され、または課税が免除されます。
配当 | 利子 |
---|---|
免税要件:持株割合50%以上 保有期間6ヶ月以上 | 原則:免税 |
また、日米租税条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定により事案を解決することになります。
さらに、相手国の租税債権の徴収を相互に支援する制度(徴収共助)は、滞納租税債権一般について適用されるように対象範囲が拡大されます。
なお、我が国の租税については、所得税、法人税、復興特別所得税、復興特別法人税、消費税、相続税、贈与税が対象となります。
アメリカ合衆国との租税条約を改正する議定書のポイントはこちら
日本の企業によるアメリカ合衆国の企業への貸付は、頻繁に行われているのではないかと思います。
そのような場合には、是非この改正議定書が適用される手続を是非行ってください。
その利子に対する課税が免税されることになりますよ!
弊所では、アメリカ合衆国への特許・商標出願だけでなく、ライセンス契約における租税条約に関するご相談も承ります。
今回の改正議定書による影響はありませんが、ライセンス契約に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。