回路配置利用権をご存ですか?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
回路配置利用権をご存知でしょうか?
回路配置利用権は、「半導体集積回路の回路配置に関する法律」(半導体集積回路法)によって規定された知的財産権の1つです。
今回は、この回路配置利用権について簡単にご説明します。
半導体を製造している企業が減ってきているので、ほとんど聞いたことがない知的財産権かもしれません。
この回路配置利用権は、回路配置※を登録機関である一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)に登録することによって発生する独占的排他権です。
基本的には、特許権とほぼ同様ですが、主に次の点で異なっています。
- 存続期間が設定登録の日から10年(半導体集積回路法10条)
- 回路配置利用権の効力は、次の行為に及ぶ
- その回路配置を用いて半導体集積回路を製造する行為
- 製造した半導体集積回路を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸し渡しのために展示し、または輸入する行為
- ただし、回路配置利用権の効力は、 次の行為には及ばない(半導体集積回路法12条)
- 他人が創作した回路配置の利用
- 解析または評価のために登録回路配置を用いて半導体集積回路を製造する行為
- 正当な権利者が譲渡した半導体集積回路を譲渡等する行為
- 特別な取り決めがない限り、職務上の回路配置の創作者は法人(半導体集積回路法5条)
もちろん、特許権と同様に、専用利用権の設定や通常利用権の許諾も行うことができます。
ちなみに、逐条解説書もありますが、現時点では中古本でしか入手できない状況となっています(弊所は保有しております)。
なお、SOFTICの「設定登録公示」を見ると、2014年4月以降、1つも登録されていないようです。
SOFTICの回路配置利用権登録のページはこちら
この法律にとっては存在意義を問われる危機的な状況かもしれません。
ただ、ベンチャー企業のように、今までに無かったような全くの新規の回路配置を創作した場合には、特許権と併せて、この回路配置利用権が役立つことがあります。
回路配置利用権は、発明のように抽象的な概念とは異なり、回路配置という明確なものを保護するものであることから、特許権とは異なった側面で保護することができる可能性があります。
知的財産権は、特許権や商標権等のメジャーなものだけではなく、この回路配置利用権もあります。
自分のビジネスに合わせて最適な知的財産権網を構築して、自分のビジネスを守ることをお勧めいたします。
弊所では、特許等だけではなく、回路配置利用権に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください
今日は以上です。
※半導体集積回路法における回路配置とは、半導体集積回路における回路素子及びこれらを接続する導線の配置をいう(半導体集積回路法2条2項)。