「知的財産侵害物品差止申立制度」をご存知ですか?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
「知的財産侵害物品差止申立制度」をご存知ですか?
税関の制度で、知的財産侵害物品が輸出または輸入されることを差し止めるように、知的財産権の権利者が税関に対して申し立てることができる制度です。
この制度はあまり知られていないと思いますので、今回はこの制度についてご紹介します。
知的財産侵害物品差止申立制度に関するパンフレットはこちら
さて、この制度ですが、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権若しくは育成者権等を侵害すると認められる物品または不正競争防止法に規定される不正競争行為に該当する物品が、日本に輸入または日本から輸出される恐れがある場合に、これらの権利者が、税関に対して、それらの物品の輸出入を差し止め、認定手続きを執るべきことを申し立てることができる制度です。
そして、この認定手続きにより、知的財産権侵害物品に認定されると、その物品は税関による没収の対象となり、その輸出入を差し止めることができます。
この制度の素晴らしいところとしては、次の3点が挙げられています。
- 手数料がかからない点
- 商標権・著作権・著作隣接権・育成者権・不正競争防止法(営業秘密侵害品を除く)の輸入差止申立てに基づく認定手続の場合、手続が簡単な点
- 素早い結論が出る点
特に、手数料がかからないことが素晴らしいです。
侵害物品の流通の差止を実現するための方法としては、この他に裁判所に差止請求訴訟を提起することも考えられますが、提起するだけでも費用がかかります。
その点を考慮すると、この制度はもっと広く知られるべき制度ではないでしょうか?
ちなみに、平成31年(2019年)第1四半期の差止件数は次のようになっています。
この表を見ると、総差止件数のうち、商標権侵害に基づく差止がそのほとんどを占める(件数割合:97.2%)ことが分かります。
輸入差止は、海賊版対策で最も効果的な手段の1つです。
特に、商標権侵害物品、意匠権侵害物品や著作権侵害物品に対して、この制度はより効果的に機能します。
海賊版に悩んでいる企業は、是非この制度を活用してください。
ちなみに、弁理士は知的財産侵害物品差止申立制度の代理人となることもできます。
弊所では、海賊版対策に関する相談や、知的財産侵害物品差止申立制度の代理サービスも行っております。
これらについて何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。