特許行政年次報告書2019年版が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今年度も、特許庁から特許行政年次報告書が公表されましたので、今回はこれをご紹介します。
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特許行政年次報告書とは、知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統 計情報、特許庁の取組等をもとに取りまとめたものです。
この特許行政年次報告書の2019年版が2019年7月12日に公表されました。
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さて、この特許行政年次報告書2019年の内容ですが、次のような目次となっています。
- 冒頭特集 知財の視点から振り返る平成という時代
- 第1部 知的財産をめぐる動向
- 第1章 国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状
- 第2章 企業等における知的財産活動
- 第3章 中小企業・地域における知的財産活動
- 第4章 大学等における知的財産活動
- 第5章 分野別に見た国内外の出願動向
- 第2部 特許庁における取組
- 第1章 2018年度における特許庁の取組
- 第2章 特許における取組
- 第3章 意匠における取組
- 第4章 商標における取組
- 第5章 審判における取組
- 第6章 特許庁におけるデザイン経営の取組
- 第7章 情報システムにおける取組
- 第8章 多様なユーザーへの支援・施策
- 第9章 人材育成に向けた支援・施策
- 第10章 産業財産権制度の見直しについて
- 第3部 国際的な動向と特許庁の取組
- 第1章 国際的な知的財産制度の動向
- 第2章 グローバルな知的財産環境の整備に向けて
今年の特許行政年次報告書は、「平成の時代にヒットした商品と技術の歴史を、ここでは知財という視点から振り返ってみる。」ということで、次のような製品の知財の歴史が紹介されています。
- 自動車
- ハイブリッド車の登場
- 世界的に進むEVシフト
- 5Gがもたらす進化
- ゲーム
- カセットからCD-ROMへ
- 「センサー」を活用して楽しむ
- 携帯電話機
- 普及初期は小型化の歴史
- 携帯文化を支えた通信の高速化
- 新たに求められる知財戦略
まず、自動車については、自動車会社の特許出願数を基にして「ヒット商品が販売される 数年前には、ヒット商品と関連のある特許技術が 出願されていることが見て取れ、各社が力を入れ 始めている技術を追うことも可能であると言える」と分析しています。
次に、ゲームについては、任天堂の特許出願の内容を分析して、「ゲーム業界では従来通りのビ デオゲームのみではなく、遊び手に多様な経験を させるユニークな商品が開発され、令和時代の ヒット商品となっていくのではないだろうか?」と分析しています。
最後に、携帯電話機については、「特許出願件数のピークの流れから通信システムの進化を読み解くことができ、来年度から商用サービスが開始される第5世代の移動通信システム(5G)に関する特許出願が今後は増えていくことが予測される」と分析しています。
これらの分析が正しいかどうかは分かりませんが、これらの製品の技術動向について知的財産の面から分析するとこういうことが言えるという一例にはなると思います。
平成という時代を振り返る際の良い資料になるのではないでしょうか?
また、特許行政年次報告書2019年版には、次のような特許出願に関する最終処分実績の推移に関する最新のデータ等も掲載されています。
このデータを見ると、近年の特許査定率は約75%で安定していることが分かると思います。
特許行政年次報告書には、このように産業財産権に関して充実した統計データやその分析が掲載されています。
特許・実用新案・意匠・商標に関する統計データを調べる際には、まずこの報告書を調べてみることをお勧めいたします。
弊所でも、セミナー等の資料を作成する際には、最新の特許行政年次報告書に掲載されているデータを利用することが多いですよ。
弊所では、知的財産に関するセミナーの講師依頼も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
追記:特許行政年次報告書2019年版紹介パラパラ漫画ムービーの情報を追加(2019/12/1)