こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログで、不正競争防止法の逐条解説のデータを無料で入手できることを書きましたが、現時点(2019年7月現在)における最新版の「不正競争防止法の逐条解説(令和元年7月1日施行版)」のデータが公表されてましたので、今回はこれについて書きます。
「不正競争防止法の逐条解説(令和元年7月1日施行版)」のデータ掲載されているwebページはこちら
「不正競争防止法」とは、知的財産に関係する法律の1つで(知的財産基本法2条1項)、事業者間の公平な競争等を確保することにより、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものです(不競法1条)。
この法律は、特許法や商標法のように、知的財産権(特許権、商標権等)を付与するという形式(権利付与法という形式)をとっておらず、不正競争を規定し、それを規制するという形式をとっています。
(この他にも、外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止等、いろいろな行為が規定されています。)
さて、この逐条解説には、平成30年度法改正により導入された次の項目についても解説されています。
- 「限定提供データ」の不正取得・使用等に対する民事措置の創設
- 「技術的制限手段」の効果を妨げる行為に対する規律の強化
- 証拠収集手続の強化
これらの改正項目は、いずれも重要ですが、AI(人工知能)・ビックデータを活用したビジネスの発展を考慮すると、特に「限定提供データ」の不正取得・使用等に対する民事措置が重要になります。
AIの学習に利用されるビックデータやビックデータそのものは、一部を除き、著作権法、特許法や営業秘密の不正取得・使用等に関する不正競争防止法等では保護することができませんでした。
そこで、次に示すように、「限定提供データ」という概念を新たに規定し、「限定提供データ」の不正取得・使用等不正競争の一形態とすることにしました。
そして、条件が非常に細かいので、詳細はこの資料を読んでいただくとして、次に示す所定の行為について差止請求や損害賠償請求ができるようになりました。
なお、「限定提供データ」に関する指針に関するブログはこちら
ビックデータを扱う企業は、自己が取り扱うデータが「限定提供データ」に該当するのか、また該当した場合にはどのように守ればよいのかについて検討し、場合によっては契約書に反映させる必要があります。
そのような部署にいる方は、この逐条解説を読み込んで、自社に有利な契約書等に反映させてください!
ちなみに、この逐条解説は書籍化されており、商事法務から出版された本としても購入することができます。
弊所では、「限定提供データ」を含む不正競争防止法に関するご相談や不正競争防止法を考慮した契約書作成等のご相談も承っております。
これらについて何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。