「期間徒過後の救済規定に係るガイドライン」をご存知ですか?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
「期間徒過後の救済規定に係るガイドライン」をご存知ですか?
このガイドラインは、平成27年改正特許法等によって、特許法および実用新案法における国際特許出願の特許管理人の選任または国際実用新案登録出願の実用新案管理人の選任、並びに商標法における後期分割登録料および割増登録料の納付に関する救済規定が追加されました。
そこで、これらの救済規定の適用に関し、出願人等の予見可能性の向上を図ることを目的として作成されました。
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なお、平成27年改正特許法等で追加された救済規定は、所定の要件を満たす場合に限り、期間内に手続をすることができなかったことについて例外的に救済するためのものですので、期間を徒過したすべての場合に適用されるものではないことに注意してください。
さて、このガイドラインの内容ですが、次のような目次となっています。
- 期間徒過後の救済規定について
- 救済規定の概要
- 救済規定に係る手続一覧(対象条文抜粋)
- 外国語書面出願の翻訳文の提出
- 出願審査の請求
- 特許料及び割増特許料の追納
- 外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出
- 実用新案登録料及び割増登録料の追納
- 外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文の提出
- 意匠登録料及び割増登録料の追納
- 商標権の更新登録の申請
- 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願
- 書換登録の申請
- 特許出願等に基づく優先権主張
- パリ条約の例による優先権主張
- 実用新案登録出願等に基づく優先権主張
- 特許管理人等の選任の届出
- 後期分割登録料の追納
- 救済を求める手続きの流れ
- 回復理由書に記載すべき事項
- 「正当な理由」に該当すべき理由
- 「手続をすることができなかった理由がなくなった日」とその根拠
- 回復理由書に添付すべき証拠書類
- 回復理由書に記載すべき事項
- 救済されるための要件
- 正当な理由があること(要件1)について
- 基本的な考え方
- 「正当な理由」とは
- 「期間徒過の原因となった事象」について
- 「期間徒過の原因となった事象」が予測可能であるといえる場合
- 「期間徒過の原因となった事象」が予測可能であるといえない場合
- 出願人等が手続をするために講じた措置
- 期間徒過の原因となった事象の発生前に講じた措置
- 期間徒過の原因となった事象の発生後に講じた措置
- 「措置を講ずべき者」について
- 出願人等
- 出願人等が二人以上である場合
- 特許庁に対する手続を代理人に委任している場合
- 代理人以外の者に期間管理等を委託している場合
- 補助者を使用し業務を行っている場合
- 救済手続期間内に手続等をすること(要件2)について
- 基本的な考え方
- 「手続をすることができなかった理由がなくなった日」とは
- 正当な理由があること(要件1)について
- 救済の認否の判断後の流れ
- 救済が認められた場合
- 救済が認められなかった場合
- 回復理由書及び救済の対象となる手続様式(一部)の記載例
- 回復理由書(特許様式第31の9)の記載例
- 翻訳文提出書(特許様式第31の5)の記載例
- 出願審査請求書(特許様式第44)の記載例
- 特許料納付書(特許様式70)の記載例
- 国内書面(特許様式第53)の記載例
- 国際出願翻訳文提出書の記載例
- 商標権存続期間更新登録申請書(商標様式12)の記載例
- 特許法第41条の規定による優先権主張(同項第1号に規定する正当な理由があるときにするものに限る。)を伴う特許出願の願書(特許様式第26)の記載例
- 特許法第43条の2(同報第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定によるパリ条約の例による優先権主張を伴う特許出願の願書(特許様式第26)の記載例
- 代理人受任届(特許様式第11)等の記載例
- 参考資料(実用新案法施行規則第23条第2項)
この目次を見れば、どのような手続きに関する救済措置があるか分かると思います。
そして、次のフロー図に記載されているように、どのような手続をとればよいかも分かるようになっています。
さて、これらの救済規定ですが、基本的には「所定の期間内に手続又は優先権主張を伴う出願をすることができなかったことについて正当な理由」がなければ適用されません。
この正当な理由の基本的な考え方として、「手続をするために出願人等がこうじていた措置が、状況に応じて必要とされるしかるべき措置であったといえる場合に、それにもかかわらず、何らかの理由により期間徒過に至ったときには、期間内に手続をすることができなかったことについて「正当な理由」がある」としています。
したがって、この考え方を考慮すると、人為的ミスはほとんど救済されないと考えられます。
実際は、個別案件ごとの判断になると思いますが、平成27年改正特許法前と同様に、救済は受けられないと考えて実務を行うべきだと思います。
ただし、この救済措置が適用される場合もあると思いますので、何かあった時のために、このガイドラインが存在したことは覚えておくべきだと思います。
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もし期限徒過になったとしても、諦めずに弊所にご相談ください。
今日は以上です。