2019年度も冒認商標対策補助金があります
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今年度(2019年度)も、海外で現地企業に不当な方法で商標権を取得された中小企業者等に対して、相手方の権利を取り消すための費用を補助する支援事業が開始されましたので、今回はそれについて書きます。
この支援事業の正式名称は、平成31年度中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金(中小企業等海外侵害対策支援事業)といいます。
この支援事業の助成に採択されると、次の補助率・上限額で補助金が出ることになります(詳細はこちら)。
- 補助率:2/3
- 補助上限額:500万円
なお、この補助金の対象となるのは、弁理士・弁護士への相談等訴訟前費用、訴訟費用、対抗措置、和解に要する費用(損害賠償・和解金を除く)になります。
ただし、これらの助成が受けられるのは、次の条件を満たす必要がありますので注意してください。
- 「中小企業者」又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が 2/3 以上を占める者)
- 「地域団体商標」に関する係争については、商工会議所、商工会、NPO法人等も対象。
- 対象国で係争に関連する産業財産権を保有、もしくはその実施権を得ていること(冒認出願による係争の場合は、係争に関連する産業財産権を日本国で保有していること)。
- 海外において、外国企業から以下の1から3の理由により権利侵害を指摘され、「警告状」を受けたり、「訴訟」を提起される等の係争に巻き込まれている中小企業(係争相手である現地企業が日系企業である場合は原則支援対象外)。
- 冒認出願等により現地の産業財産権を現地企業に先取されている。
- 現地の産業財産権を保有しつつも、事業を実施していない企業から権利行使されている。
- 無審査によって取得できる現地の産業財産権が現地企業との間で並存している。
このような補助金は、予算枠が無くなった時点で募集を終了することになりますので、上記条件に当てはまり、かつ冒認商標対策を行おうと考えている企業は、早めに申請を行った方がよいと思います。
ただ、気をつけて欲しい点は、下図に示すように、費用を支払った後で補助金が支給されることです。すなわち、まず上記の費用を自己負担した後に補助金が支払われること(後払い)になりますので、資金繰りに注意してください(先払いと勘違いされている方もいます)。
日本で有名になっている商標を外国で使えないのは、ビジネスを行う上で大きなハンデになります。
是非この補助金を活用して、外国での冒認商標※を排除してください。
弊所では、国内・海外を問わず、冒認商標に関するご相談も承っております。
また、補助金を採択されてから補助金が支払われる間のつなぎ融資のサポートも行っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
※冒認商標とは、悪意の第三者が、外国において、ブランド名等を先取出願・登録することをいう。