「大学による大学発ベンチャーの株式・新株予約権取得等に関する手引き」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2019年5月に、経済産業省から「大学による大学発ベンチャーの株式・新株予約権取得等に関する手引き」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。
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平成31(2019)年1月に施行された「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」(平成二十年法律第六十三号)により、国立大学法人が研究開発の成果を事業活動において活用する大学発ベンチャーへの支援の一環として株式・新株予約権を取得することができるようになりました。
しかし、大学の株式・新株予約権取得に係る各業務やそれに関わる知識が広範囲に渡るため、大学に認められる活動やコンプライアンスの範囲でどのようにそれらの業務を行うべきか、大学ごとに検討するノウハウや知識が不足していると考えらています。
そこで、そのようなノウハウを補うべく、この手引きが作成されました。
さて、この手引きの内容ですが、次のような目次となっています。
- 大学による大学発ベンチャーの株式・新株予約権取得の概要
- 大学による株式・新株予約権取得・保有が認められる場合
- 株式・新株予約権が取得できる大学発ベンチャーへの支援内容
- 株式売却に関する制限
- 大学発ベンチャーの株式・新株予約権取得の意義
- 研究成果の活用・社会実装促進
- 大学の自律的なベンチャーエコシステム構築
- 大学発ベンチャーの株式・新株予約権を取得した事例
- 日本の大学の状況
- 海外(米国)の大学の状況
- 株式・新株予約権取得で大学が考慮すべきリスク
- 金銭的な損失
- 社会的信頼性やブランドの毀損
- 大学による株式・新株予約権取得・保有が認められる場合
- 新株予約権(ストックオプション)に関する各検討フェーズにおける留意点(知的財産権のライセンスに伴い新株予約権を取得する場合)
- 新株予約権の取得時
- 必要な体制
- <新株予約権の取得判断のチェックリスト>
- 実務上のポイント
- 新株予約権の保有時
- 必要な体制
- 実務上のポイント
- 新株予約権の行使、株式の売却時
- 必要な体制
- 実務上のポイント
- 新株予約権の取得時
- 今後の展望
- 参考資料
- 大学の株式・新株予約権の取得に関連する通知や法律
- 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律
- 研究開発法人及び国立大学法人等による成果活用事業者に対する支援に伴う株式又は新株予約権の取得及び保有に係るガイドライン
- 国立大学法人及び大学共同利用機関法人が株式及び新株予約権を取得する場合の取り扱いについて(通知)
- 日本の大学へのヒアリング結果
- 国立大学法人 東京大学
- 国立大学法人 九州工業大学
- 学校法人 慶應義塾 慶應義塾大学
- 新株予約権契約書の例(東京大学)
- 新株予約権割当契約書
- 発行要領(別紙)
- 大学の株式・新株予約権の取得に関連する通知や法律
この目次に記載されているように、大学という特殊な法人が株式や新株予約権を取得する際に考慮すべき事項が解説されています。
これらの事項は、大学や大学発ベンチャーの関係者には関心があると思いますが、一般の企業の方にはあまり関係がないと思われるかもしれません。
しかし、一般の企業の方にも役立つ情報が記載されています。例えば、<新株予約権 新株予約権 の取得 判断の際のチェックリスト>等は、一般の企業がベンチャー企業に投資する際の参考になるのではないかと思います。
また、この他に、新株予約権割当契約書や発行要領の例等も掲載されており、これらの契約に関心のある方にも役立つと思います。
ベンチャーの株式やストックオプションの取得に関心のある方は、一度目を通してみては如何でしょうか?
弊所では、特許や商標の取得・権利行使だけでなく、契約・交渉に関するベンチャー企業支援を行っております。
これらの点に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。