中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料25
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、近畿経済産業局 知的財産室が取りまとめた資料「デザイナー・中小企業のためのデザイン契約のポイント(意匠制度によるデザイン保護と活用)」をご紹介します。
「デザイナー・中小企業のためのデザイン契約のポイント」はこちら
この資料は、外部デザイナーと連携する際に、生み出された「デザイン」に対する権利の帰属、利用時の改変の扱い等で、「デザイン」を巡る知的財産に対する理解の不一致等に基づいて、商品・サービス開発の遅延や、事業化後にトラブルになることがあることから、このようなトラブルを未然に防ぎ、デザインの利活用の促進に役立てることを目的に作成されました。
デザインに関する契約についてまとめた資料はほとんど見当たらないので、貴重な資料だと思います。
さて、この資料ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 第1章 デザイン開発プロセス
- デザイン開発プロセス
- デザイナーのかかわり方
- 第2章 デザインを守る意匠権
- 知的財産権制度
- デザインを守る意匠権
- デザインが意匠権となる要件
- 第3章 デザイン開発と契約
- リサーチ段階から先行意匠調査を
- 商品企画段階
- デザイン開発段階
- デザイン開発委託契約のススメ!
- デザイン料金を定める
- 不採用デザインの取り扱い
- 設計・試作段階
- 販売・流通段階
- 参考資料 デザイン活用とデザイン契約のお役立ちサイト
この目次を見れば分かると思いますが、デザイン契約において気を付けるべき事項が簡潔に説明されています。
特に3章では、製品化の各段階ごとに気を付けるべき事項が記載されています。
また、この資料の特色として、企業側の立場だけでなく、デザイナー側の立場の記載もあることです。
例えば、「デザイン料を定める」という章には次のような記載があります。
「近年、若い女性や海外で人気がある刀剣等の伝統的な地場産業の企業と若い新進デザイナーや海外の著名デザイナーが組むことで、思いがけない日っと商品が生まれている事例があります。その場合、デザイナー側がロイヤリティ契約にしておけばと後悔する例も中にはあるようです」
「企業側の立場でいえば、たとえば金型やプロモーション等の初期投資を回収するまで、ロイヤリティーを支払うわけにはいかないでしょう。」
このように両者のそれぞれの立場に立った記載があるので、この資料を読むことで、デザイナーと企業は相手方立場の理解が進むのではないでしょうか?
残念ながら、この資料にはデザイン契約書のサンプル(ひな形)は記載されていませんが、この資料を読むことによって双方がウインウインの関係を築くことができる契約の考え方が分かるようになると思います。
デザイナーの方や、デザイナーにデザイン作成の依頼を考えている企業の方は、是非この資料に目を通して見てください。きっと役立つと思います。
弊所では、意匠登録出願に関するご相談だけではなく、デザイン契約書に関するご相談も承っております。
これらについて何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。