特許権侵害訴訟の近年の傾向
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログで、特許を所有している中小企業は、所有していない中小企業よりも売上高営業利益率が高いと書きましたが、特許権は裁判で使えるのか?という疑問をお持ちの方もいると思うので、今回は最近の特許権侵害訴訟の近年の傾向について書きます。
「特許を持っていても裁判では勝てないので意味がない」というようなことを聞いたことがありませんか?
では、実際にどうかということで、データとしてはちょっと古くなりますが、知的財産高等裁判所が公表している「特許権の侵害に関する訴訟における統計(東京地裁・大阪地裁,平成26~29年)」をご紹介します。
特許権の侵害に関する訴訟における統計はこちら
この統計資料によると、下のグラフに示すように、特許権侵害訴訟が認められる割合は結構高い割合になっています。
棄却は敗訴ですが、差止給付条項や金銭給付条項が含まれた和解は、特許権侵害が認められた場合と同じ効果なので、これも勝訴に含めると、特許権侵害訴訟のうち4割程度が特許権侵害が認められると考えることができます。
思っていたよりも、高い確率で勝訴できると思った方も多いのではないでしょうか?
この資料には、この他にも、判決で認容された金額も記載されています(下のグラフ参照)。
さらに、和解において支払うことが約された金額も記載されています(下のグラフ参照)。
上2つのデータを見ると、特許権侵害訴訟で得られる金額は、思っていたよりも低い(100万円~1千万円が最も多い)と思う方も多いと思います。
ただこの点については、現在法改正が検討されており、将来は現状よりも高い損害額が認められることになるかもしれません。
これらの資料は、知的財産高等裁判所が公表しているものであり、信頼性が非常に高いものとなっています。
ちなみに、ご紹介した以外にも次のような統計データも掲載されています。
- 判決の内容(棄却・却下・債務不存在確認認容・認容・債務不存在確認棄却)
- 和解の内容(差止給付条項・金銭給付条項の有無)
- 無効の抗弁の有無・無効の抗弁に対する判断
特許権侵害訴訟に関する最も基本的な資料だと思いますので、是非この資料をダウンロードして読んでみてください!
特許権侵害訴訟の実体を知ることができると思います。
弊所では、特許権侵害訴訟に関するご相談や訴訟代理も承っております。
特許権侵害被疑製品を見かけましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。