ベルギーとの新租税条約が発効します
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2016年(平成29年)10月12日に、ベルギー王国との間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約」が署名されました。
そして、2019年(平成31年)1月19日に、この租税条約が発効しますので、今回はこのことについて書きます。
財務省のプレスリリースによると、2018年12月20日に、上記条約を発効させるための必要な相互の通告が行われました。
その結果、我が国では、次の事項が適用されることになりました。
- 課税期間に基づいて課される租税に関しては、2020年1月1日以後に開始する各課税期間の租税
- 課税期間に基づかないで課される租税に関しては、2020年1月1日以後に課される租税
一方、ベルギー王国では、次の事項が適用されることになりました。
- 源泉徴収される租税に関しては、2020年1月1日以後に貸記され、又は支払われる所得
- 所得に対するその他の租税に関しては、2020年1月1日以後に開始する各課税期間の所得
- その他の租税に関しては、2020年1月1日以後に生ずる課税事象に係る租税
この条約により、投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ、または課税が免除されます。
配当 | 利子 | 使用料 |
---|---|---|
免税(議決権割合10%以上・保有期間6月以上) 免税(年金基金受取) 10%(その他) | 免税(企業間受取等) 10% | 免税 |
なお、 条約の特典の濫用を防止するために、一定の要件を満たす適格者等である居住者に限定して条約の特典が認められますが、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については、条約の特典は認められないことに注意してください。
また、 条約の規定に従っていない課税は、両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には、第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決されることになります。
ベルギー王国との租税条約のポイントはこちら
ベルギー王国の企業との間でライセンス契約等を締結している場合には、新しい租税条約に関する届出書の申請手続を是非行ってください。
また、この条約の発効により、ベルギー王国に進出する日本企業が増えてくるのではないでしょうか?
弊所では、ベルギー王国の特許・商標出願だけでなく、ライセンス契約における租税条約に関するご相談も承ります。
ライセンス契約に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。