ベンチャー投資契約に関する留意事項
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2018年4月に、経済産業省から「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。
「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」はこちら
この資料は、ベンチャー投資の際に、投資家とベンチャー企業とが締結する投資契約等の意義を確認すると共に、投資契約等の設計において契約当事者が留意すべき事項を解説することで、適切なベンチャー投資の促進を図ることを目的に作成されたものとなっています。
さて、この資料の内容ですが、次のような目次となっています。
- ベンチャー投資における投資契約等の意義
- 投資契約等の重要性が高まっている背景
- ベンチャー企業の資金調達の重層化
- 投資ストラクチャーの多様化
- 投資家層の多様化
- ベンチャー企業を対象としたM&Aの増加
- 投資契約等の構成
- 投資契約
- 株主間契約
- 財産分配契約
- その他の契約等
- 契約構造の変遷
- 種類株式と投資契約等の関係
- ベンチャー投資において利用される種類株式
- 種類株式と投資契約等の関係
- タームシート
- タームシートの意義
- 解説及び留意事項
- 投資契約
- 株主間契約
- 財産分配契約
- その他の解説及び留意事項
- おわりに
ベンチャー企業の起業家は、資金調達等でエンジェル投資家やベンチャーキャピタル等に接する機会が多いと思います。
そして、実際に資金提供を受けるという段階になって投資契約等を結ぶことになります。
しかし、起業家、特に技術畑から起業した起業家は、本格的な契約等を締結したことはあまりないのではないでしょうか?
もちろん、投資契約等の契約については、契約の専門家にチェックしてもらうことをお勧めいたしますが、専門家に丸投げというのも問題があります。
そこで、投資契約等の抑えておくべきポイントについては、起業家自身が理解しておき、その取扱いについて専門家に指示して、契約書に反映させることが望ましいです。
その時に、この資料が役立ちます。
まず、1の「ベンチャー投資における投資契約等の意義」では、なぜ投資契約等を締結する必要があるかについて、起業家(創業株主)や投資家の立場で解説されています。
また、2の「投資契約等の重要性が高まっている背景」では、次の4点を挙げて、投資契約等の重要性が高まっていることが解説されています。
- ベンチャー企業の資金調達の重層化
- 投資ストラクチャーの多様化
- 投資家層の多様化
- ベンチャー企業を対象としたM&Aの増加
これらの項目を読むことで、投資契約等を締結する必要があることが分かると思います。
さらに、この資料では、投資契約等の概要(構造)や、投資契約等と種類株式との関係についても解説されているので、各契約の意義についても分かるようになっています。
そして、この資料で最も実務的に役立つタームシートについても、サンプルとその解説が簡潔に記載されています。
このタームシートに基づいて、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル等と投資契約等について交渉すれば、後悔するような事態にはなり難くなるのではないでしょうか?
交渉が心配であれば、交渉経験のある専門家と共に交渉したり、予めどのような条件であれば締結できるか等を専門家と相談することをお勧めいたします。
弊所でも、ある企業と締結された契約書に不利な条項が入っていたため、他の企業とコラボレーションできなかったベンチャー企業の相談を受けたことがあります。
そのような事態にならないようにするためにも、是非この資料を活用して、ユニコーンと呼ばれるようなベンチャー企業を育成してください。
弊所では、特許や商標の取得・権利行使だけでなく、契約・交渉に関するベンチャー企業支援を行っております。
これらの点に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。