特許行政年次報告書2018年版が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今年度も、特許庁から特許行政年次報告書が公表されましたので、今回はこれをご紹介します。
特許行政年次報告書とは、知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統 計情報、特許庁の取組等をもとに取りまとめたものです。
この特許行政年次報告書の2018年版が先日公表されました。
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今年は、明治元年(1868年)から満150年を迎える年であることから、この報告書の目次概要版の背景には、明治期の特許庁に関連する 建築物の写真・図や、文明開化を象徴する施設及び街並みの絵画が採用されています。
(時代を感じるようなデザインになっています。)
さて、2018年版の冒頭特集ですが、①産業財産権制度設計の道と、②特許・意匠・商標の三条例制定後の登録第1号が掲載されています。
①「産業財産権制度設計の道」では、専売特許条例、商標条例、意匠条例の各制度の制定の道のりが簡潔にまとめられています。
私もどのような経緯を経て産業財産権法が制定されたのかほとんど知らなかったのですが、その歴史的経緯を知ることができました。
読み物としても興味深いものだと思いますので、是非目を通して見てください。
②「特許・意匠・商標の三条例制定後の登録第1号」では、各条例の第1号の公報を見ることができます。
特許の登録第1号は、「堀田錆止塗料およびその塗法」という発明で、その明細書を読むことができます。
この明細書は、漢字とカタカナで記載されており、現代人にとっては非常に読みにくいものとなっています。
次に、意匠の登録第1号は、「織物縞に関する意匠」で、その意匠図面を見ることができます。
この報告書には図面が1枚しか掲載されていないので、もしかすると現在とは違って、当時は6面図が必要とされなかったのかもしれません。
最後に、商標の登録第1号ですが、「薬品に関する商標」で、魚を切っていて指を怪我したと 思われる者が描かれた商標です。
登録第1号は、なんと図形商標だったのですね!
このように、なかなか面白い情報が掲載されていますので、冒頭特集だけでも読む価値があると思います。
この他に、もちろん産業財産権に関する国内外の動向と分析等が掲載されています。
例えば、次のような特許出願に関する最終処分実績の推移に関するデータ等も掲載されています。
このデータを見ると、特許査定率が高くなってきています。
このことから、出願人は、厳選して審査請求を行っていることが分かります。
特許行政年次報告書には、このように産業財産権に関して充実した統計データやその分析が掲載されています。
特許・実用新案・意匠・商標に関する統計データを調べる際には、まずこの報告書を調べてみることをお勧めいたします。
弊所でも、セミナーの資料を作成する際には、最新の特許行政年次報告書に掲載されているデータを利用することが多いですよ。
弊所では、知的財産に関するセミナーの講師依頼も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。