翻訳しやすい特許明細書作成に役立つ資料
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前、特許翻訳の世界にも機械化の波が!というブログを書きましたが、近年のAI(人工知能)の進歩を考えると、特許明細書も、まずはコンピュータで翻訳し、その後人間が修正するという時代になるかもしれません。
そういう時代に備えて!、という訳ではありませんが、コンピュータによる特許ライティング支援機能を実現するために役立つ資料(特許ライティングマニュアル)をご紹介します。
今回ご紹介する「特許ライティングマニュアル(第2版)」は、一般財団法人日本特許情報機構(Japio)によって作成され、2018年4月23日に公表(2018年3月26日発行)されました。
ちなみに、「特許ライティングマニュアル(初版)」は、2013年6月に発行されたそうです。
特許ライティングマニュアル(第2版)のダウンロードサイトはこちら
さて、このマニュアルの内容ですが次のような目次となっています。
- 短文にする ~短くシンプルな文にするから
- 説明語句が長いときは、短く分ける
- 複数の主語や術後を含むときは、文を分ける
- 箇条書きは文を分ける
- 文中の長いかっこ書きは分ける
- 省略しない ~隠れている要素がないが注意する~
- 主語を明示する
- 目的語を明示する
- 比較対象を明示する
- 理解しやすい構成にする ~文の構造に注意する~
- 主語と述部を近づける
- 修飾語句は被修飾語に近づける
- 短い説明語句ほど説明したい語句の近くに置く
- 主語と述語を対応させる(ねじれさせない)
- 横並びの要素の表現を揃える ~対応に並べ意味に注意する~
- 並列要素を列挙するときの表現を揃える
- 並列要素を「や」「・」(中黒)で並べる場合は注意する
- 読点を工夫する ~係り受けや文の構造を明らかにする~
- 主語のあとにつける
- 接続語句のあとにつける
- 原因・理由・条件を表す節のあとにつける
- 修飾先を明らかにするためにつける
- 簡潔にする ~シンプルな表現にする~
- 不要・冗長な表現を改める
- 意味の重複を省く
- 長い名称を簡潔に表す
- 言い換える ~誰にでも伝わる表現にする~
- 多義的な助詞「で」「の」を言い換える
- 難解な用語や造語を簡潔に表す
- 「こそあど」を言い換える
- 「こと」「もの」などの一般的過ぎる表現を言い換える
- 名詞の動詞化「をする」「を行う」「になる」を言い換える
- 「~的」など、便利な接尾辞に注意する
- 日本語特有の表現、擬音語や擬態語、現場用語に注意する
これらのことは、日本語で明細書を作成する際に気を付けるべき事項ですが、人によっては癖となってしまって、なかなか修正できないこともあると思います。
そのような時には、このマニュアルを定期的に読んでみては如何でしょうか?
何度も読むことによって、記憶に残っていくはずです。
(同僚などと輪読会を行ってもよいかもしれません。)
日本の人口が減少していくことを考えると、今後は外国でも特許権を取得していくことが増えていくと思います。
その時でも、最初の出願はやはり日本語で作成し、その特許明細書を外国語に翻訳して特許権を取得するという流れは変わらないと思います。
(発明者は日本語で発明を考えているはずなので)
是非このマニュアルを活用して、特許翻訳しやすい特許明細書を作成してください。
(弊所のような特許事務所に特許明細書作成を依頼する場合であっても、このマニュアルに従って発明提案書が作成されていれば、より良い特許明細書を作成することができると思います。)
ちなみに、弊所でもこのマニュアルを活用していますよ!
弊所は、外国での特許権取得を前提とした特許明細書作成を行っております。
外国特許出願を考えている方は、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。