品種登録出願システムの説明会に参加してきました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2018年2月23日に開催された品種登録制度の電子出願システム(品種登録出願システム)の追加説明会に参加してきましたので、今回はそのことについて書きます。
この説明会で配布された資料によると、平成30(2018)年2月27日から品種登録出願システムが稼働するそうです。
品種登録出願をする際には、今まで必要事項を紙に記載して農林水産省に提出する必要がありましたが、この品種登録出願システムが稼働すれば、書類を提出することなく、電子的に品種登録出願を行えるようになります。
知的財産に関する電子出願と言えば、特許庁のインターネット出願システムがありますが、それと比較すると品種登録出願システムは比較的小規模なものとなっています。
例えば、インターネット出願システムでは、出願人(法人を含む)や代理人を特定するために、住民基本台帳カード、マイナンバーカードや電子証明書を利用するようになっていますが、品種登録出願システムではIDとパスワードで認証するシステムとなっています。
また、インターネット出願では、出願料や登録料の支払い方法として、電子現金納付(ペイジーによる支払い)、口座振替、予納、現金納付が認められていますが、品種登録出願システムでは電子現金納付(ペイジーによる支払い)しかできないようです。
今回運用が始まる品種登録出願システムと、30年近くの歴史がある特許庁のインターネット出願システムとでは、多少の違いがあるのは仕方がないのかもしれません。
ただ、品種登録出願システムにより、出願前に、品種登録出願の書式チェックができるようになることは大変すばらしいことだと思います。
行政機関への書類提出では、書式が異なることによって補正手続等が発生してしまい、手続が遅れてしまうことが多いです。
それを未然に防ぐことができるので、大変役立つシステムだと思います。
特に、品種登録出願を頻繁に行っている企業(個人)はあまりないと思いますので、このような手続をたまに行っている程度だと、形式的なミスを起こしやすくなります。
したがって、それほど頻繁に品種登録出願を行っていない企業(個人)ほどありがたく感じするシステムではないでしょうか?
また、この品種登録出願システムは、出願管理や年金管理を行うこともできるようになっています。
これは、特許庁のインターネット出願システムでも備えていない機能です。
年金管理は、1年から数年に1度の手続であることが多く、管理漏れが発生しやすい業務です。
その一方で、管理をミスして年金を支払わなかった場合には、育成者権が消滅してしまうという非常に重大な結果をもたらす業務でもあります。
したがって、それらを無料のソフトウェアで管理できるなんて大変すばらしいことだと思います。
なお、既に登録されている品種登録の年金管理情報も追加して管理できるようになっています。
ちなみに、インターネット出願システムではこのような機能を備えていないため、多数の特許権や商標権を保有する企業等は、高価な年金管理システムを導入して年金管理を行っています。
さて、このような素晴らしい機能を有する品種登録出願システムですが、次のような電子データを農林水産省に提出できるようになります。
- 代理人情報
- 出願者情報
- 文書送付先情報
- 出願品種情報
- 育成者情報
- 外国出願情報
- 未譲渡性情報
- 願書補足情報
- 種苗提出情報
- 添付資料情報
なお、現時点では未だ実装されていないようですが、今後の改良で次の書類も電子データとして提出できるようになるようです。
- 出願補正書
- 自主出願補正書
品種登録を考えている企業や個人の方は、これらの機能を備えた品種登録出願システムを導入してみては如何でしょうか?
弊所でも、早速IDとパスワードを取得し、品種登録出願システムを導入しようと思います。
弊所では、品種登録出願の出願代理業務も行っております。
新たな植物品種を育成し、品種登録を考えている場合には、是非弊所にご相談ください。
ところで、今回の説明会の会場となった三番町共用会議所(旧山縣有朋邸庭園跡)は、第3代、第9代内閣総理大臣山縣有朋が明治18年(農商務大臣当時)に建築した邸宅跡にあり、当時の建物は、残っていませんが、素晴らしい庭園跡が今も残っている素晴らしい場所でした。
記念に、中庭の写真を撮ってきたので、載せておきます。