営業秘密(秘密情報)管理に役立つ資料6
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、技術の情報の適切な管理において留意すべき最低限の事項をまとめた資料(製造産業における重要技術の情報の適切な管理に関する基準となる考え方の指針)をご紹介します。
この資料は、経済産業省が勧めているオープン・クローズ戦略において、製造産業が保有する技術の情報のうち、クローズ領域においてノウハウ等として守るべきものについての一層適切な管理を図るべく、技術の情報の守り方の基準となる考え方を整理したものです。
対象となる情報は、秘密情報の保護ハンドブックの秘密情報となる技術情報のうち、次のような重要技術の情報としています。
- 製品を分析するだけでは模倣が難しく、技術流出による影響が大きい重要技術に関する情報
- その重要技術に関する情報を権利化した場合でも、権利侵害の探知や立証が難しいもの
さて、この指針の内容ですが、次のような目次となっています。
- はじめに -本ガイドラインの目的と考え方について
- 適切な管理を行うべき技術の情報
- 重要技術としての評価
- 適切に管理を行う重要技術の情報について
- 重要技術に係るリストの作成と重要技術の情報である旨の表示(マーキング)と管理
- 重要技術に係るリストの作成
- 重要技術の情報の表示(マーキング)と管理
- 重要技術の情報の管理の責任者
- 重要技術の情報への接近防御
- 重要技術の情報への人的アクセスの制限
- 重要技術の情報への物理的アクセスの制限
- 重要技術の情報の作成等、運搬、複製運搬、廃棄の取扱い
- 作成等
- 運搬
- 重要技術の情報の複製
- 重要技術の情報の廃棄
- 重要技術の情報に係る外部委託先等のマネジメント
- 外部委託先等に重要技術の情報を取り扱わせる前の確認
- 秘密保持契約の締結
- 外部委託先等のマネジメントをより実効的にするための措置
- 重要技術の情報の管理を確実に実行していくためのトレーニング
- 全ての従業員等に対するトレーニング
- アクセス権者に対するトレーニング
- 重要技術の情報に係る漏えいの兆候把握、事故発生時の報告等の対応
- 全ての従業員等が報告すべき事象
- アクセス権者が報告すべき事象
- 報告があった場合の対応
- 情報セキュリティ(電子情報の保護等)について
- 電子情報である重要技術の情報の取扱いに係る管理
- 電子情報である重要技術の情報へのアクセスに関する対応
- 情報システム全体における対策
- 情報システムの保守・点検
- その他の推奨措置
詳細については、この指針を読んでいただければ分かると思いますが、記載されている事項を行うことができるのは比較的大規模な企業だと思います。
中小企業の場合には、自社の人的リソースと守るべき重要な情報とのバランスをとる必要があると思います。
例えば、「重要技術の情報の管理の責任者」という章には、重要技術情報管理責任者を置き、その責任について社内規程等に定めることを推奨すると記載されています。
しかし、中小企業では、通常このような専任者を置くことができないと思います。このような場合には、総務部長が兼任してその業務にあたる等、その企業の状況にあった体制を構築する必要があります。
このように、企業の規模によってはそのまま使えないようなことも記載されていますが、重要な情報を保護するためには、このようなことをしなければならないという1つの指針にはなると思います。
製造産業におけるノウハウをどのように守って行くか悩んでいる方は、是非この指針を読んでみては如何でしょうか?
良いヒントが見つかるかもしれませんよ!
ちなみに、この指針には、外部に販売する製品等に化体した重要技術の情報については、製造工程等の情報の適切な管理を行いつつ、リバースエンジニアリング対策やブラックボックス化を通じて、重要技術の情報が不用意に流出しないよう適切な措置を講じていくことを推奨するということも記載されています。
弊所では、営業秘密等のご相談も承っております。
何かありましたら、是非弊所ご相談ください。
今日は以上です。