改正消費者契約法のパブコメ
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログで、消費者契約法に関する情報がまとまっている消費者庁のHPについてご紹介しましたが、今回は現在検討されている改正消費者契約法のパブリックコメントを募集していますので、今日はそれについて書きます。
消費者契約法は、消費者と事業者の情報力・交渉力の格差を前提とし、消費者の利益擁護を図ることを目的とする法律ですが、今回は主に次の事項の改正を予定しているようです。
- 不利益事実の不告知の主観的要件に「重大な過失」を追加(消費者契約法第4条第2項)
- 取消しが認められることとなる行為として、消費者がその生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険に関する不安を抱いていることを知りながら、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該損害又は危険を回避するために必要である旨を正当な理由がないのに強調して告げることという趣旨の規定を追加(消費者契約法第4条第3項)
- 取消しが認められることとなる行為として、消費者を勧誘に応じさせることを目的として、当該消費者と当該事業者又は当該勧誘を行わせる者との間に緊密な関係を新たに築き、それによってこれらの者が当該消費者の意思決定に重要な影響を与えることができる状態となったときにおいて、当該消費者契約を締結しなければ当該関係を維持することができない旨を告げることという趣旨の規定を追加(消費者契約法第4条第3項)
- 取消しが認められることとなる行為として、事業者が当該消費者と契約を締結することを目的とした行為を実施した場合において、当該行為が当該消費者のためにされたものであるために、当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしないことによって当該事業者に損失が生じることを正当な理由がないのに強調して告げ、当該消費者契約の締結を強引に求めることという趣旨の規定を追加(消費者契約法第4条第3項)
- 消費者契約が、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの対価を消費者が支払うことを内容とする場合において、当該消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由として事業者に解除権を付与する条項を無効とする旨の規定を設けること(消費者契約法第8条)
- 次の条項の追加(消費者契約法第8条)
- 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の要件に該当するか否かを決定する権限を事業者に付与する条項
- 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされる当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の要件に該当するか否かを決定する権限を事業者に付与する条項
- 事業者に債務不履行がある場合に消費者の契約を解除する権利の要件に該当するか否かを決定する権限を事業者に付与する条項
パブリックコメントは、国民(事業者)の意見を法律に直接反映できる唯一の機会ですので、これらの改正について疑義等がある場合には、是非積極的に意見を提出してください。
パブリックコメント募集期間は、2017年8月21日~2017年9月15日です。
なお、パブリックコメントの詳細はこちら
弊所では、消費者契約法に関連するライセンス契約についてのご相談も承っています。
ライセンス契約に関して何かありましたら、是非弊所にご相談ください。
今日は以上です。