こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
特許協力条約(Patent Cooperation Treaty, PCT)に基づく国際特許出願が年々増えて来ており、PCT制度の重要性が増してきています。
そこで、今回は、日本国特許庁における国際調査機関及び国際予備審査機関としての業務手順や判断基準を解説した資料(PCT国際調査及び予備審査ハンドブック)をご紹介します。
国際特許出願に関する手続については、特許法第184条の3~第184条の20や、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律等に規定されていますが、条文の読み替えや引用が多く、非常に分かりにくい条文となっています。
そのため、条文から国際特許出願に関する手続を調べるのは非常に大変でした。
そこで、今回ご紹介する「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」(PCTハンドブック)が役立ちます。
「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」は、特許協力条約、法律等の規定を引用しつつ、我が国特許庁における国際調査機関および国際予備審査機関としての業務手順や判断基準が解説されています。
さて、このガイドブックの内容ですが、次のような目次になっています。
- PCT 制度の概要
- PCT の沿革
- PCT の成立
- PCT 制度改正の経緯
- PCT 制度の特徴
- PCT における優先権制度
- パリ条約に基づく優先権
- 自己指定された国際出願における優先権(国内優先権)
- 優先日
- 優先権書類の提出
- PCT で規定される官庁・機関
- 国際事務局(IB)
- 受理官庁(RO)
- 国際調査機関(ISA)
- 国際予備審査機関(IPEA)
- 指定官庁(DO)
- 選択官庁(EO)
- RO、ISA 及びIPEA の管轄
- 管轄RO
- 管轄ISA
- 国際調査のための翻訳文
- 管轄IPEA
- 国際予備審査のための翻訳文
- JPO における管轄
- PCT 制度に関する条約・国内法令等
- PCT 制度に関する条約、規則、ガイドライン等
- 日本国におけるPCT 制度に関する法令
- PCT 国際出願に関する手続の全体像
- RO での手続
- 方式要件の点検
- 手数料の納付確認
- IB 及びISA への国際出願の送付
- 国際調査段階
- ISR 及びISA 見解書の作成
- ISR 及びISA 見解書の利用
- 19条補正及び非公式コメント
- 19 条補正
- 非公式コメント
- 国際公開
- 国際公開の時期
- 国際公開の言語
- 国際公開の内容
- 国際公開の効果
- ISA 見解書及び非公式コメントの第三者への提供
- 国際予備審査段階
- 国際予備審査の請求
- 34 条補正及び答弁書
- IPEA 見解書
- IPER の作成
- IPER の利用
- 国内段階移行
- 国内段階移行手続
- IB からDO 又はEO への送達
- 国内段階における審査
- PCT の沿革
- 国際調査業務
- 序論
- 国際調査の目的
- 国際調査段階の手続の全体像
- 優先日・基準日
- 最小限資料(Minimum Documentation)
- 秘密保持
- 国際調査段階における審査官の具体的な業務手順
- 国際調査開始に当たっての検討
- スケジュールの確認
- 書誌的事項の確認
- 国際調査の基礎の確認
- 「先の調査等の結果の利用」に関する検討
- 国際調査における除外対象の検討
- 国際調査段階において作成すべき書類の確認
- 中間指令に関する検討
- 追加手数料の納付命令(発明の単一性)
- 明らかな誤りの訂正請求命令
- 使用してはならない表現等に関する通知
- 配列表の提出命令
- 国際調査における調査対象の決定
- 先行技術調査
- 先の調査等の結果の利用
- 先行技術調査の実施
- 先行技術調査の終了
- ISR 及びISA 見解書の作成に当たっての検討
- 共通の検討事項
- ISR に関する検討事項
- ISA 見解書に関する検討事項
- ISR の作成要領
- ISA 見解書の作成要領
- ISR 等の送付の通知書(ISA/220)の作成要領
- ISR 及びISA 見解書の作成完了後の業務
- 序論
- 国際予備審査業務
- 序論
- 国際予備審査の目的
- 国際予備審査段階の手続の全体像
- 秘密保持
- 国際予備審査段階における審査官の具体的な業務手順
- 国際予備審査開始に当たっての検討
- スケジュールの確認
- 書誌的事項の確認
- 国際調査の結果の考慮
- 国際予備審査の基礎についての検討(補正及び訂正に関する検討)
- 国際予備審査における除外対象の検討
- 国際予備審査段階において作成すべき書類の確認
- 中間指令に関する検討
- 請求の範囲の減縮又は追加手数料の納付命令(発明の単一性)
- 明らかな誤りの訂正請求命令
- 配列表の提出命令
- 国際予備審査における審査対象の決定
- トップアップ調査
- IPEA 見解書を作成するか否かの検討
- IPEA 見解書又はIPER の作成に当たっての検討
- IPEA 見解書の作成要領
- IPER の作成要領
- IPER の附属書類の添付
- 特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第二章)(IPRP(II))の送付の通知書(IPEA/416)の作成要領
- IPEA 見解書又はIPER の作成完了後の業務
- IPEA 見解書の作成完了後の業務
- IPER の作成完了後の業務
- 序論
- 国際段階における実体的要件の判断基準
- 調査・審査における除外対象
- 調査・審査をすることを要しない対象
- 明細書、請求の範囲又は図面が記載要件を満たさない結果、有意義な調査・審査を行うことができない発明
- 入手可能な配列表が存在しないため、有意義な調査・審査を行うことができない発明
- ISR が作成されていない発明
- 発明の単一性
- 先行技術(新規性及び進歩性の判断の根拠となる開示)
- 新規性
- 進歩性
- 産業上の利用可能性
- 明細書及び請求の範囲の記載要件
- 補正
- 優先権
- 調査・審査における除外対象
- 国際段階におけるその他の業務
- 先の調査等の結果の利用(番外2)
- 追加手数料の納付命令
- 国際調査段階における追加手数料の納付命令(ISA/206)
- 国際予備審査段階における請求の範囲の減縮又は追加手数料の納付命令(IPEA/405)
- 国際調査段階における追加手数料異議の決定(ISA/212)
- 国際予備審査段階における追加手数料異議の決定(IPEA/420)
- 出願人との面接等の応対
- 国際調査における非公式な明確化(ISA/207)
- 国際予備審査における出願人との非公式な連絡(IPEA/428・IPEA/429)
- 明らかな誤りの訂正
- 明らかな誤りの訂正請求命令(ISA/216・IPEA/411)
- 明らかな誤りの訂正請求についての決定(ISA/217・IPEA/412)
- 配列表
- 配列表の確認
- 配列表提出命令
- ISR 等における配列表についての記載事項
- ISR を作成しない旨の決定(ISA/203)
- 使用してはならない表現等に関する通知(ISA/218)
- ISR の送付後における要約の修正(ISA/205)
- 優先権の主張の基礎となる先の出願の翻訳文の提出命令(IPEA/414)
- 見解書に対する応答期間の延長(IPEA/427)
- 補正を考慮しないことの通知(IPEA/432)
- ISR の発送前又は発送から2 月以内に国際予備審査が請求された場合の取扱い
- 補充及び引用補充
- 優先権の主張についての確認
- 優先権の主張の補充等の確認
- 先の出願の出願日から国際出願日までの期間の確認
- 新規性喪失の例外に関する申立て
- 第三者情報提供制度
- 別紙A 引用文献のカテゴリー
- 別紙B 引用文献の記載要領
- 別紙C 補正が行われた場合の国際予備審査の基礎の決定
- 別紙D IPER の附属書類の添付に関する事例
この目次を見て分かるように、細かい事項まで詳しく記載されています。
たとえば、特許協力条約等に規定されていない非公式コメントについても次のような事項が記載されています。
- 非公式コメントの提出先及び提出ができる期間
- 非公式コメントの形式
- 非公式コメントのDOへの送付及び取扱い
- 非公式コメントの第三者への提供
PCT制度について調べる際には、まずこの資料に当たってみては如何でしょうか?
特許庁が作成していますので、信頼できる資料ですよ。
弊所では、PCT出願および各国移行手続のご相談も承ります。
何かありましたら、弊所に是非お問い合わせください。
今日は以上です。
追記1:2018年4月にPCTハンドブックが改訂されました
追記2:2018年10月にPCTハンドブックが改訂されました
追記3:特許庁のHPのURLが変更になったので、それに合わせてリンクを修正(2019/3/11)