職務発明規定のひな形
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
平成27年改正特許法が改正されてから既に1年半近く経ちますが、職務発明規程の改訂は完了していますか?
まだ完了していないという企業に役立つように、今回は特許庁が作成した「中小企業向け職務発明規程ひな形」をご紹介します。
中小企業向け職務発明規程ひな形はこちら
平成27年改正特許法では、職務発明に関し、次の点について改正されました。
- 職務発明の使用者帰属
- 職務発明に対する対価(相当の利益)
1については、職務発明規程等に、予め使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、職務発明の特許を受ける権利は、その発生の時から、当該使用者等に帰属するということが認められることになりました(改正前は認められていませんでした)。
2については、職務発明規程等に、予め使用者等に特許を受ける権利を取得させる場合には、その対価として、金銭に限定せず金銭以外の経済上の利益を与えることも含まれるようになりました(以前は、金銭に限定されていました)。
したがって、現行特許法に合わせるために、職務発明規程等に上記の事項を記載しておく必要があります。
今回ご紹介する「中小企業向け職務発明規程ひな形」では、1に対応させるために、次の条項が規定されています。
「(権利帰属)
第4条 職務発明については、その発明が完成した時に、会社が特許を受ける
権利を取得する。」
また、2に対応させるために、次の条項(注意書を含む)も規定されています。
「(相当の利益)
第7条 会社は、第4条の規定により職務発明について特許を受ける権利を取
得したときは、発明者に対し次の各号に掲げる相当の利益を支払うものとす
る。ただし、発明者が複数あるときは、会社は、各発明者の寄与率に応じて
按分した金額を支払う。
一 出願時支払金 ○円
二 登録時支払金 ○円
(*1 第7条第1項はあくまで一例であり、必ず出願時支払金や登録時支払金という形で相当の利益を与えなければいけないということではない。これ以外の相当の利益の付与方法として、例えば、職務発明に係る実施品の売上げやライセンス料収入に応じて、いわゆる実績補償を行うことも可能である。
例1:会社は、利益発生時支払金として、職務発明に係る実施品の年間売上高のうち○%を当該職務発明の発明者に支払う。
例2:会社は、職務発明に係る実施品の年間利益が○円を超えたときは、当該職務発明の発明者に対し、○円を支払う。
*2 金銭以外の相当の利益として、海外留学の機会の付与、ストックオプションの付与、特別有給休暇の付与等の措置を執ることも可能である。)
2 発明者は、会社から付与された相当の利益の内容に意見があるときは、その相当の利益の内容の通知を受けた日から60日以内に、会社に対して書面により意見の申出を行い、説明を求めることができる。
(* 第7条第2項はあくまで一例であり、各社の事情に応じて日数を決めることも可能である。)」
この他にも、このひな形には、権利の処分、実用新案及び意匠への準用や秘密保持に関する条項も規定されています。
このひな形を参考にして、各企業の状況にあった職務発明規程を作成しては如何でしょうか?
弊所では、職務発明規程の作成支援も行っております。
何かありましたら、是非お問い合わせください。
今日は以上です。
追記:特許庁のHPのリンク先が変更になったので、それに合わせてリンクを修正(2019/3/11)