開放特許情報データベースをご存知ですか?

開放特許情報データベースをご存知ですか?

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、ライセンス可能な特許出願(特許権)を簡単に検索することができる開放特許情報データベースをご紹介します。検索のイラスト

我が国では毎年多数の特許出願が行われ、登録されています(特許ステータスレポート2016によると、2016年には、318,721件が特許出願され、189,358件が登録されました)。

これらの特許出願(特許権)のうち、民間企業が所有するものの多くは、自社の競争優位性を保つための参入障壁として使われています。

一方、私が以前勤務していた産総研のような公的研究機関や大学等が所有しているものは、自己では実施することが難しいことから、企業に積極的にライセンス(実施許諾)することを目的としていることが多いです。
(なお、公的研究機関や大学等が所有している特許出願(特許権)であっても、企業と共同で所有しているものはライセンスされないことが多い。)

しかし、公的研究機関や大学が所有しているもので、かつライセンス可能な特許出願(特許権)を探すのは非常に大変です。

何の情報もない状態から、そのような条件の特許を探す場合には、通常次のような手順を行うことが多いです。

  1. まずJ-PlatPatのテキスト検索等で機関名(大学名等)を入力して特許を検索する。
  2. 興味を引く特許が見つかった場合に、ライセンスを受けられるか否かについて、所有する機関に問い合わせる。
  3. ライセンス可能の場合には、その機関とのライセンス交渉や技術移転交渉に入るが、ライセンス不可の場合には1に戻る。

これらの手順は非常に手間がかかるので、やってみたくてもやっていないという企業の方も多いのかもしれません。

また、私の経験では、企業の方から、公的研究機関や大学等は敷居が高いと感じられ、2の行動がしにくいと言われたことがあります。

確かに、大学等に所属していた場合を除いて、これらの機関とはなかなか接点がないため、問い合わせしづらいと感じられるかもしれません(実際は違うことが多いのですが)。

そこで開放特許情報データベースが役立ちます!

このデータベースは、企業、大学、研究機関等が所有し、ライセンス・譲渡する意思のある特許出願(特許権)を検索することができる公的なサービスです。

このデータベースには、現時点(2017年5月)30,000万件を超える特許出願(特許権)が登録されています(このデータベースに登録している登録者は1,800名を超えています)。

ちなみに、登録者情報「国立研究開発法人産業技術総合研究所」で検索してみたところ、約7,000件(2017年4月時点)がヒットしました(表示できるのは1,000件までのようです)。

登録者情報の他に、キーワード、提供技術内容(技術分野)、提供技術内容(機能)、番号情報、その他提供技術の条件(たとえば提供技術実績)や日付範囲指定でも検索することができます。

自社に新規技術導入を考えている方は、まずこの開放特許情報データベースを使ってみては如何でしょうか?

素晴らしい技術に出会えるかもしれませんよ!

ただし、以前のブログにも書きましたが、新規技術を導入する場合には、特許に関する技術をキチンと移転してもらえるか必ず確認してください。

特許明細書を読んだだけでは、なかなか技術導入できないことが多いです。

なお、開放特許情報データベースには、自己が所有する特許出願等を登録することもできます。

ライセンス・譲渡する意思のある特許出願(特許権)がありましたら、是非登録してください。
無料で登録できますよ。

大学等からの技術移転について相談したいことがありましたら、遠慮なく弊所HPの「お問い合わせ」をクリックして、お問い合わせください!

また、ライセンス契約等に不安がある方も、弊所にご相談ください。

今日は以上です。

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