知的財産の譲渡契約書に貼る収入印紙について
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
秘密保持契約書の印紙税、共同研究契約書の印紙税、ライセンス契約書の印紙税 および共同出願契約書の印紙税についてブログに書いてきましたが、今まで譲渡契約書の印紙税の取扱いについては書いていなかったので、今回はそれについて書きます。
結論から言うと、知的財産権譲渡契約書には、収入印紙を貼付する必要があります。
理由は、印紙税法第1号の1文書にいう「無体財産権の譲渡に関する契約書」に該当するからです。また、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が取りまとめた「知っておきたい特許契約の基礎知識」P12に記載の「収入印紙が必要な契約書」に例示されています。
なお、印紙税が関係する知的財産権譲渡契約書としては、主に次のようなものがあります。
- 特許権譲渡契約書
- 実用新案権譲渡契約書
- 商標権譲渡契約書
- 意匠権譲渡契約書
- 回路配置利用権譲渡契約書
- 育成者権譲渡契約書
- 商号譲渡契約書
- 著作権譲渡契約書
ここで、特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利や意匠登録を受ける権利の譲渡契約の場合も、収入印紙が必要なのか?と思う人もいると思いますが、結論から言うと、次のような設定登録前の権利に関する譲渡契約書(出願権譲渡証書)には、収入印紙を貼付する必要はありません。
- 特許を受ける権利に関する譲渡契約書
- 実用新案登録を受ける権利に関する譲渡契約書
- 意匠登録を受ける権利に関する譲渡契約書
- 商標登録出願により生じた権利に関する譲渡契約書
理由は、「発明に関する特許を受ける権利(出願権)の譲渡を約することを内容とする文書は、特許権そのものの譲渡を約することを内容とするものではないから、課税文書に該当しない。」というものです(国税庁HP)。
登録される前と後とで、譲渡契約書に印紙を貼付する必要があるか否か変わってきますので、注意してください。
なお、譲渡契約書に貼付する印紙税額(2019年2月18日現在)は次のようになっています(国税庁HP)。
譲渡契約に記載された契約金額(譲渡料) | 印紙税額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
譲渡契約書に収入印紙を貼付していなかった場合や、収入印紙の金額が不足していた場合には、納付しなかった印紙税額の2倍の過怠税が課されることになりますので、注意してください。
弊所では、共同出願契約書から、特許を受ける権利等に関する譲渡契約書、譲渡契約書およびライセンス契約書の作成・交渉代理まで一貫して取り扱っております。
知的財産に関する契約書に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
追記:印紙税額の表を追加(2019/2/18)