意匠審査基準の一部が改訂されました(2017)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
先日全面改訂された商標審査基準と同様に、意匠審査基準の一部が改訂されましたので、今回はそれについて書きます。
一部改訂された意匠審査基準はこちら
今回は、次の項目が改訂されました。
- 意匠登録出願に係る意匠の認定
- 工業場利用することができる意匠
- 新規性喪失の例外
まず、1.の「意匠登録出願に係る意匠の認定」では、「また、願書に添付した図面等に参考図として表された図については、一組の図面及びその他必要な図に表されたものと異なる形状、模様又は色彩が表されている場合には、出願の意匠の形態に係る認定において、それら異なる要素そのものは考慮しない。」という文章が追加されています。
これにより、参考図に意匠図面と異なる形状等が記載されていても、それらは意匠の認定に影響しないことが、審査基準上明確になりました。
次に、2.の「工業場利用することができる意匠」では、「意匠が具体的なものと認められない場合の例」に、「ただし、コンピュータ・グラフィックスにより作成した図に
おいて、外形形状を明確にするために、背景に単一色による彩色を施した場合であって、願書の「意匠の説明」の欄に、その彩色が、背景の彩色である旨の説明を記載した場合、及び、当該説明の記載がなくても背景の彩色であることが明らかな場合を除く。
一方、下の例のように、図全体が出願の意匠に係る物品の形態を表しているのか、図中に背景の彩色が含まれているのかが不明である場合には、意匠が具体的なものと認められない。」という文章とその具体例が追加されました。
これにより、コンピュータ・グラフィックスにより作成した意匠図面に記載されている影等の取扱いが、審査基準上明確になりました。
最後に3.の「新規性喪失の例外」では、「意匠法第4条第1項及び第2項の規定」に、「新規性(意匠法第3条第1項)及び創作非容易性(意匠法第3条第2項)の要件の判断において、」という文章が追加されると共に、新規性喪失の例外規定を提供するための要件とその具体的な手続等が、新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の書式と共に大幅に書き換えられました。
これにより、新規性喪失の例外規定を適用することで新規性・創作非容易性の要素の判断に関して当該公開意匠が考慮されないことが明確化されると共に、新規性喪失の例外規定の適用範囲と申請手続が明確化されました。
この改訂意匠審査基準は平成29年(2017年)4月1日から適用されていますが、新規性喪失の例外規定を適用しようと考えている方は、是非上記3.の「新規性喪失の例外」に目を通しておいてください。
弊所では、意匠登録出願戦略を含めた意匠登録出願代理を行っております。
意匠登録出願に関し、何かありましたら弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。