改正地理的表示法が施行されました(2016)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
平成28年(2016年)12月26日に改正地理的表示法(改正GI法)が施行されましたので、それについて書きます。
今年(平成28年)成立したTPP12(環太平洋戦略的経済連携協定)整備法案の中に、地理的表示法の改正案が含まれており、次のような内容の法改正が行われました。
- 日本と同等の地理的表示保護制度を有する外国と個別の二国間等の国際協定によるGI相互保護を可能とする(改正法23条)。
- 輸入業者に対し、輸入された不正表示産品の譲り渡しを禁止する規制を定める(改正法3条3項)。
1については、TPP12加盟国であれば、登録された地理的表示が自動的に保護されるということにはなっていませんが、今後個別に条約等が締結されれば、日本で登録された地理的表示がその外国でも保護されることになります。
すなわち、地理的表示の相互保護が成立した国(TPP12に加盟していない国を含む)に対しては、個別に地理的表示申請を行うことなく、その国において地理的表示が保護されることになります。
なお、相互保護によって、保護対象となる外国の地理的表示の指定の手続きについても今回の法改正で定められました(改正24条~32条)。
地理的表示保護申請を外国に行うには相当のコストと時間がかかりますので、これを行わなくても地理的表示が保護されることはユーザーにとって大変魅力的だと思います。
2については、指定された外国の地理的表示が付された農林水産物等の国内流通を防止することができるようになります。
この条項を定めることによって、日本の登録された地理的表示が外国においてもこれと同様の取り扱いを受けることになるかもしれません。
(実際は、上記の国際協定の内容によるとは思いますが。。)
このように、今回の法改正では、各国で商標を登録しなければならない商標制度とは異なり、地理的表示保護制度は日本で登録することにより外国でも保護される可能性が強くなってきました。
このようなメリットがある地理的表示保護制度を是非活用してください!
弊所では、地理的表示保護制度の申請代理サービスを行っております。
申請を考えている団体の方は、是非ご相談ください。
今日は以上です。
追記:TPP11の発効が決定したので、当時話題となったTPP12と2018年に発効するTPP11の違いを明確化(2018/12/4)