ネット上で無料と謳っているイラスト等を使うのはリスクがありますよ!-4
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログ(ブログ2、ブログ3、ブログ4)で、自治体が権利者に無断で著作物を利用していたという事件をご紹介しましたが、また同じような事件が起こりましたので、ご紹介します。
しかも、今回は非常に多数(1500件以上)の著作権を侵害していたという事件になります。
香川県の報道発表資料によると、地図情報提供業者の利用規約に違反して、県のホームページに地図を掲載していたようです。
そして、この利用規約違反の原因として、次の4つが挙げられています。
- ホームページに利用規約等で認められていないスクリーンショットを貼り付けたもの(埋込みの場合は利用可能)
- 利用規約等で定められている適正な表示ができていなかったもの (出典、承認番号など出典表示が記載されていれば利用可能)
- 印刷物の許諾は得ていたが、ホームページへの掲載についての許諾を得ていないなど許諾の手続きが不十分であったもの
- 本来許諾を要するところ未申請で掲載した、二次利用が認められていない など
これらの原因のうち、著作権侵害の件数(枚数)が多かったものは、2の原因のようです。
著作権は、支分権と呼ばれる多数の権利の束で構成されています(著作権法第21条~28条)。
したがって、原因2については、印刷に関する権利(複製権)についてだけでなく、HPへの掲載に関する権利(公衆送信権等)についても、契約等で明確に利用許諾を得ておく必要があったということになります(公衆送信権等に関する許諾を得ていなかったために、このような状況になったものと思われます)。
特許権や商標権は1つの権利なので、その権利について許諾を得ていれば問題はないのですが(許諾されている範囲を超えると問題です)、著作権の場合には、どの権利まで許諾されているかをキチンと意識する必要がありますので、ご注意ください。
香川県では、再発防止策として、「著作権保護の意識と利用規約遵守についての注意喚起とともに、全職員を対象としたe ラーニング(1人1台パソコンで受講できるオンライン 学習)を受講させる」ようです。
著作権侵害をすると、その自治体や会社の信用が著しく低下します。
著作権侵害をしないように、日ごろから意識しておく必要があるのではないでしょうか?
なお、著作権は、特許権や商標権と比較して権利侵害してしまい易い権利です。
著作権について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。