中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料12
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、中国への海外展開を目指す中小企業の方に役立つ資料(ブランドを活かす、守る 中国ビジネスガイドブック)をご紹介します。
この資料は、経済産業省 近畿経済産業局が取りまとめたもので、「海外展開を図る上で知的財産対策は重要な課題の一つですが、人材や資金に制約のある中小企業にとって成果や必要性の見えにくい知的財産の問題は、ややもすると対策を怠りがちであり、そのためにトラブルになってしまうケースが多く見られます。」ということで、特に中国への海外展開を目指す中小企業向けに作成されたようです。
さて、このガイドブックの内容ですが、次のような目次となっています。
- 知的財産の基礎知識 海外展開前にこれだけは!
- 重要な進出前の準備 -知財の調査・出願を
- 費用対効果を念頭に置いた海外での知財保護
- 模倣対策に向けて認識が必要なポイント
- 知的財産権の基礎知識と中国でのブランド活用
- 知的財産権の基礎知識
- 中国でのブランド活用の基本
- 中国商標出願の手続きの流れ
- 中国改正商標法の重要ポイント
- 中国商標法の改正ポイントの概観
- 中国ビジネスに直結! 重要改正ポイントを厳選!
- 中国の知的財産制度と契約基礎知識
- 我が国と中国の知的財産制度の比較
- 契約の基礎知識
- 商標ライセンス契約(生産委託)
- 商標権譲渡契約
- 中国における知的財産の保護
- 相談窓口等関係機関の紹介
中国に関する知的財産について一通り解説されていますが、中国ビジネスにおいて重要な商標権について多くのページが割かれています。
特に、第三次改正中国商標法については、重要改正ポイントとして、次のような改正点に関し、イラスト等を入れて分かりやすく解説されています。
- 一商標多区分制の導入
- 審査プロセスでの出願人の説明、補正が可能に
- 馳名商標(中国国内の著名な商標)の保護制度の改革
- 業務提携にある者の無断登録禁止
- 異議申立制度の見直し
- 登録商標の使用義務
- 他人の登録商標を模倣した企業名称(商号)の使用を防止
- 先使用権の新設導入
- 罰則と損害賠償が厳格化
また、ところどころに、コラムが設けられており、中國法に関する情報やトピックが記載されています。これらを読むだけでも面白いと思います。
さらに、このガイドラインでは、商標ライセンス契約と商標権譲渡契約書の例文も掲載されています。
個々の事案の状況に応じた条項が考慮されていないので、この契約書をそのまま利用するのは危険ですが、参考になると思います。
特に、中国での商標権に関する契約をしたことがないという場合には、これらの契約書に記載されている条項が最低限必要になるということが分かると思います。
中国に進出する際には、是非このガイドラインを読んで参考にしてください!
今日は以上です。