共同研究契約書を検討する際に役立つ資料12
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、大学や公的研究機関と共同研究を考えている企業に役立つ資料(大学等の研究成果を特許出願するために)をご紹介します。
この資料は、特許庁が平成24年6月に取りまとめたもので、平成27年改正特許法の内容(職務発明)が反映されていませんが、大学と共同研究を考えている企業が知っておくべき事項がコンパクトにまとめられています。
内容としては次のような事項が記載されています。
- 研究成果の特許出願と活用の重要性
- 研究成果の発表前に特許出願の検討を
- 共同研究と共同発明
- 大学の知的財産の創造・保護・活用のための体制
- 外国での特許取得
- こんなときには?
- 特許電子図書館(IPDL)
- 研究の参考に
ここで、7.特許電子図書館(IPDL)は既に廃止されており、現在はJ-PlatPatで同様なことができるようになっています。
さて、この資料の良いところですが、大学の立場についても書かれていることでしょうか?
私も産総研の技術移転業務を行っている際に、「国の研究機関なのだから、私企業からライセンス料を取らなくてもいいのでは?」というような質問を受けたことがたびたびありました。
これに対しては、「支払っていただいたライセンス料は、さらなる研究開発に使われます。日本の研究開発力を維持・発展させていくためには、是非必要なものなのです」というような説明をしていました。
一方、この資料の「事業化で広がる研究」という項目には、名古屋大学でのライセンス料の使い道が紹介されています。青色LED関連の特許料収入は、産学官連携推進本部やレンタルラボ等が入居する施設を建設に使われたそうです。
大学に支払ったライセンス料も、将来の研究開発等に使用されているのです。
大学と共同研究を考える際には、大学の立場も理解できると、より気持ちよく共同研究ができると思います。
さらに、この資料には、共同研究の成果である特許に関することも説明されています。
特に、「特許の実施」の項目には、実際に共有特許を実施すると、大学に一定額の金銭を支払う場合もあることが説明されています。
大学と共同研究を始める際に、このようなことがあることを知らないために(共同研究契約書にきちんと記載されていても、それに気づかないこともあります)、いざ製品を販売する時に大学ともめてしまうということもあります。
このように、この資料には、大学や公的な研究機関と共同研究を行う際に必要な情報がコンパクトにまとめられています。
大学や公的な研究機関と共同研究を初めて行うという企業の担当者は、是非この資料をご覧なってください!
なお、共同研究契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。
今日は以上です。