地理的表示保護制度に登録されたときのメリット1
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
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今回は、各地の農政局に地理的表示等の不正表示通報窓口が開設されていることについて書きます。
地理的表示保護制度に登録されるメリットの1つとして、行政が不正な地理的表示を取り締まってくれるということがあります。
これは非常に大きなメリットで、商標のように企業(個人)が所有している権利について活用しようとする場合には、通常権利者が裁判所に訴える必要があります。
そして、この時のコスト(時間・費用)がばかになりません。
まず、訴えるために必要となる情報を取得するコスト、通常弁護士を弁護士雇う必要があるのでそのコスト(場合によっては、弁理士も雇う必要があります)、さらには裁判に出廷する時に係るコスト等がかかります
一方、地理的表示保護制度では、行政が取り締まってくれるので、上記のようなコストはかかりません。
今回の不正表示通報窓口は、まず不正な地理的表示に関する情報提供を受け付けてくれるところになります。
そして、事案が不正な地理的表示であると国が認定すると、措置命令等の取り締まりを行ってくれるという流れになります(自分で訴えることができないという点がデメリットになり得ますが)。
相談自体も、弁護士や弁理士に相談する場合には費用(相談料)がかかりますので、その点だけでも地理的表示保護制度は使いやすい制度だと思います。
現時点(2016年6月末時点)において登録産品数が12(弊所が申請代理した伊予生糸も含まれています)しかないので、どれくらいの相談数があるか分かりませんが地理的表示保護制度は着々と構築されているようです。
不正表示等について行政が取り締まってくれるので、地理的表示保護制度は個人や小規模の企業にも使いやすい制度となっています。
また、費用も登録料(90,000円)を支払った後は、商標権のように更新費用等が発生しません。
この点も、個人や小規模の企業にも使いやすい制度となっています。
さらに、農林水産省は、外国との間でGIの相互保護に向けた動きを進めており、2021年7月時点で、EU、タイ、ベトナムとの間で覚書等が締結されており、所定の手続を行うことにより、外国でもGI登録ができるようになっています。
したがって、GI登録をすることによって、日本と同様に外国でも保護されるというメリットもあります。
弊所では、地理的表示申請代理サービスも行っております。
申請中の案件でも対応させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
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今日は以上です。
追記:外国での相互保護に関する記載を追加(2021/7/10)