海外知的財産訴訟費用保険制度が創設されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、海外(アジア全域)で知的財産の係争に巻き込まれた際に役立つ海外知的財産訴訟費用保険制度が創設されたということについて書きます。
特許庁によると、外国出願経験のある中小企業のうち、8%が海外で警告等を受けた経験があるとのことです。
これは、海外での現地企業による出願件数の増加に伴い、海外での知的財産の係争巻き込まれるリスクが増加からだそうです。
そこで、特許庁では、中小企業がアジアにおいて知的財産の係争に巻き込まれた場合のセーフティーネットとして、日本で初めてとなる知的財産訴訟費用を賄う保険制度を創設したとのことです。
保険の内容は次のような内容になっています(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)。
- 対象権利:特許権、実用新案権、意匠権および商標権(著作権については、これらの権利に相当する権利に関係すると認められるもの。著作権のみは対象外)
- 保証対象:被保険者の業務遂行に起因して、第三者の知的財産権を侵害したこと、または侵害する恐れがあることを理由に、その権利者から訴訟の提起等を受けることによって負担する費用
ちなみに、保険金額が500万円の場合の掛金は10万円のようです(アジア全域における売上高が1億円の場合)※。
東南アジア諸国での知的財産に関する訴訟に500万円程度かかると言われているようですので、それに合わせた保険内容になっているようです。
海外、特に中国に進出する予定の方は、この保険の利用を検討してみては如何でしょうか?
(中国では知的財産に関する訴訟に巻き込まれる確率が、他のアジア諸国よりも高いです。)
なお、今年度は補助金が用意されているようで、補助金の手続を経ることにより、保険加入時の掛金の1/2を特許庁が補助してくれるようです。
保険に加入される際には、この補助金も活用も検討してみてください。
弊所では、この保険を利用すべきか否かについてもご相談に乗ります。
今日は以上です。
※掛金は、変更されることがあるので、保険会社に確認してから加入をご検討ください。