営業秘密(秘密情報)管理に役立つ資料1
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、経済産業省が作成した資料(秘密情報の保護ハンドブック~企業価値の向上に向けて~)をご紹介します。
現在、ものづくり企業に対して、国を挙げてオープン・クローズ戦略を勧めています。
ものづくり白書(2013年版)によると、『オープン・クローズ戦略とは、これらの知的財産のうち、どの部分を秘匿または特許などによる独占的排他権を実施(クローズ化)し、どの部分を他社に公開またはライセンスするか(オープン化)を、自社利益拡大のために検討・選択することである』と説明されています。
ここで、特許権を取得し、自社でのみ実施する(クローズ化)か、他社にライセンスるするか(オープン化)するかについては、比較的わかりやすいと思います。
一方、秘匿する(クローズ化)については、分かりにくいと思います。
特に、今までオープン・クローズ戦略を意識していなかった企業の場合には、どのような情報を秘匿し、その情報を不正競争防止法によって保護されるレベルでどのように秘匿するかよく分からないのではないでしょうか?
そこで、このハンドブックが役立つことになります!
このハンドブックでは、企業の方々が秘密情報の管理を行う際の参考となるよう、秘密情報を決定する際の考え方、具体的な漏えい防止対策、取引先などの秘密情報の侵害防止策、万が一情報の漏えいが起こってしまった時の対応方法等が紹介されています。
具体的には、次のような内容が記載されています。
- 目的及び全体構成
- 保有する情報の把握・評価、秘密情報の決定
- 秘密情報の分類、情報漏えい対策の選択及びそのルール化
- 秘密情報の管理に係る社内体制のあり方
- 他社の秘密情報に係る紛争への備え
- 漏えい事案への対応
これらの内容は、実務的に役立つと思いますが、特に2章の「保有する情報の把握方法」、「保有する情報の評価」、「秘密情報の決定」や3章の「具体的な漏洩対策例」は非常に役立つのではないでしょうか?
(一般的なことじゃないかと思われるかもしれませんが、簡潔にまとまっているだけでも十分に価値がある情報ではないかと思います。)
たとえば、退職予定者に対する対策として次のようなことが例示されています。
- 社内貸与の記録媒体、情報機器等の返却
- 退職をきっかけとした対策の厳格化とその旨の周知
- OB会の開催等
OB会の開催が情報漏洩防止に役立つ!と目からウロコの情報もあります。
秘密情報管理に悩まれている方は、是非目を通してみて如何でしょうか?
弊所では、営業秘密等のご相談も承っております。
この資料でも解決できないものについては、気軽にご相談ください。
今日は以上です。