無料メルマガの内容の一部を有料メルマガに転載していた!?・・・その後
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、以前のブログで紹介した裁判で和解が成立したので、それについて報告します。
(原告弁護団の先生に教えていただきました!この場を借りてお礼申し上げます。)
この裁判(「市民福祉情報」無断盗用事件(平成27年(ワ)第21872号))は、原告の無料メールマガジンに掲載されていた記事を、11年もの間、被告の有料会員向けメールマガジンに無断で転載し、あたかも独自情報であるかのように提供していた行為に対し、著作者人格権および著作権侵害を主張していたものです。
結論としては、この裁判については、平成28年4月19日に訴訟上の和解※が成立しました。
原告のHPによると、和解内容は次のようになったようです。
- 被告が11年間にわたり「市民福祉情報」の記事を被告の有料会員向けメールマガジンに無断で掲載し、独自情報であるかのごとく装って会員に提供してきた事実を認め、
- 被告において原告の活動の社会的意義を理解するとともに、原告の著作権及び著作者人格権を侵害したことを深く謝罪したうえ、
- 過去のデータを抹消するとともに今後二度と同様の行為を行わないことを約束し、
- 全国紙を含む媒体に謝罪広告を掲載することを了承して謝罪広告費用相当額の和解金を支払う
この和解内容を見ると、1~3は当然としても、4の意義が大きいと思います。
(裁判では、4.(いわゆる信用回復措置)はなかなか認められませんので、この条件を被告に認めさせた弁護団はすごいですね。)
一方、被告は社会的信用を相当失ったのではないかと思います。
ちなみに、費用的にも結構かかりそうです。
「メールマガジンの内容だから、適当にコピーしてもいいでしょ!」と被告が最初に思ったかどうかば別にして、著作権侵害をしてしまうと大きな代償を払うことになる一例となりました。
インターネットを使って、誰でも情報発信ができるようになったこの時代、著作権には十分注意してください。
今日は以上です。
※訴訟上の和解とは、訴えの提起後、訴訟係属中に受訴裁判所、受命裁判官または受託裁判官の面前において、当事者が互いに譲歩し、訴訟の全部または一部について、争いを終了させようとする訴訟法上の合意をいう(引用:コトバンク)。なお、訴訟上の和解で合意した事項は、確定判決と同一の効力を有する(民訴267条)。