機能性食品に関する特許が取得しやすくなりました!
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログに書きましたが、機能性食品に関する特許が取得しやすくなりましたので、それについて書きたいと思います。
ちょっと専門的に書くと、特許庁の審査基準が改訂され、「食品の用途発明に関する審査の取扱い」が変更になりました。新しい審査基準は平成28年4月1日からの審査に適用されています。
平成28年3月31日までの審査基準では、「請求項中に用途限定がある食品の発明について、現行審査基準に従うと、『用途限定が請求項に係る発明を特定するための意味を有しないものとして認定することで特許法第29条第1項第3号の拒絶理由がある』と判断する」とされていました。
ところが、新しい審査基準では、
- 食品に関する発明の請求項に用途限定がある場合には、用途限定が請求項に係る発明を特定するための意味を有するものとして認定する。
- ただし、動物、植物については、用途限定が付されたとしても、そのような用途限定は、動物、植物の有用性を示しているにすぎないから、用途限定のない動物、植物そのものと解釈する。
となりました。
分かりにくいかもしれませんが、以前の審査基準に従うと、ヨーグルトの発明に関して、請求項に「有効成分Aを含む○○○用ヨーグルト」と記載していても、『○○○用』部分は意味がないものとして取り扱うとしていました。
したがって、以前の審査基準では、たとえば「有効成分Aを含む○○○用ヨーグルト」は「有効成分Aを含むヨーグルト」と認定して新規性・進歩性等を判断していたということです。
ちなみに、従来からのヨーグルトに有効成分Aが含まれていたら、新規性がないとして拒絶されることになります(従来から食べられていたヨーグルトに、いきなり独占権が付与されたらおかしいですよね)。
ところが、新しい審査基準に従うと、『○○○用』は意味がある(用途限定がある)ものとして取り扱うということになりました。
したがって、新しい審査基準では、「有効成分Aを含む○○○用食品組成物」はそのまま認定され、有効成分Aを含むヨーグルトが○○○用途で食べられることが今まで知られていなかったら、新規性を有するものとして取り扱われることになります。
「以前は特許にならなかった発明が、4月からは特許になるなんておかしい!」と思われるかもしれませんが、産業財産権の分野では結構あることなので理解していただくしかありません。
ユーザーである皆さんは、この制度をどのように活用できるかを考えた方がいいと思います。
ちなみに、新しい審査基準によって、用途限定をすることにより新規性を有することになる発明も、食品分野では当たり前の効果(有効成分Aが有する効果として知られているもの)の場合には、進歩性がないとして拒絶される可能性があるので注意してください。
現在、健康食品の市場は年々拡大しているので、この分野で特許を取得して食品自体も独占したいと考えている方は是非弊所に相談ください。
(すでに複数社からのご依頼がありました。)
弊所では、機能性表示食品に関連する食品の用途発明に関する特許出願も承っております。
食品の用途発明に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。