平成27年改正特許法 職務発明ガイドライン案説明会に参加しました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
平成28年2月3日に開催された「平成27年改正特許法 職務発明ガイドライン案説明会」に参加してきたので、そのことを書きます。
(右の写真は、説明会直前まで、中野サンプラザの入り口付近でパフォーマンスしていた獅子舞?の写真です)
ちなみに、この職務発明ガイドライン案は、本年4月1日に改正特許法が施行され次第、職務発明ガイドラインとして公表されるようです。
(現時点では、改正特許法が施行されていないので、職務発明ガイドライン”案”となっているようですね!)
この職務発明ガイドラインは、平成27年に成立した改正特許法第35条第6項に規定されている「産業構造審議会の意見を聴いて、前項の規定により考慮すべき状況等に関する事項について指針を定め、これを公表」という文言を受けて作成されたものです。
改正特許法では、特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能とする一方、発明者に対して相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利を有するとしています。
そして、その経済上の利益の内容が特許法第35条第5項の規定により不合理であるか否かの判断に関し、この職務発明ガイドラインに例示される手続(次の1~3)の状況が適正か否かがまず検討されると特許庁は考えているようです。
(この職務発明ガイドラインが有効か否かについては、最終的には裁判所で判断されることになります。)
- 相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業員等との間で行われる協議の情報
- 策定された当該基準の開示状況
- 相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況
これらの詳細については、職務発明ガイドライン案に譲りますが、これらを実際に実施できるのは相当の体力(規模)を有する企業だと思います。
そうすると、多くの中小企業はどうするのか?というと、それについても次のように記載されています。
<総論>
従業者等の数が比較的少ない中小企業等においては、事務効率や費用等の観点から、
その企業規模に応じた方法で、協議、開示、意見の聴取といった手続をそれぞれ行うことが考えられる。なお、これらの手続を書面や電子メールで行うことも可能である。
<協議>
例えば、従業者等の代表者を選任してその代表者と協議する方法ではなく、従業者等を集めて説明会を開催する方法によることが考えられる。
<開示>
例えば、イントラネットではなく、従業者等の見やすい場所に書面で掲示する方法によることが考えられる。
<意見の聴取>
例えば、発明者である従業者等から聴取した意見について審査を行う社内の異議申立制度が整備されていなくとも、発明者である従業者等から意見を聴取した結果、使用者等と当該従業者等との間で相当の利益の内容の決定について見解の相違が生じた場合は、使用者等が個別に対応する方法によることが考えられる。
ただ、これを読んでもよく分からないと思います。
結局は、会社の実態に合わせて、協議・開示・意見聴取を行いましょうということだと思います。
弊所では、会社の実態に合わせて、職務発明規定の作成やその作成過程の手続きもサポートいたします。
気になる方は、気楽にお問い合わせください。
今日は以上です。