AIが作った曲の作曲家は誰?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
情報科学の進歩は目を見張るものがありますね!
20年位前は、コンピュータに話をさせようと思っても、音の繋がりが悪く、ぶつぎれの音で出力されるので聞き取れないこともありました。
ところが、近年になると、テキストを入力すると、そのテキストをスムーズに読み上げてくれるソフトがたくさん出て来たり、コンピュータに歌さえ歌わせることができるようになりました。
そうなると、次はコンピュータに作詞・作曲させよう!という話になるのは仕方がないことかもしれませんね。
実際に、現在様々な研究機関や企業でそのような開発が行われているようです。
そこで、知的財産を取り扱っている者として気になるのが、著作権です。
著作権法において、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と規定されています(著2条1項1号)。
そして、ここでの「思想又は感情」とは、人間の思想又は感情だけであり、それ以外の動物等の思想又は感情は含まれないと一般的に解釈されています。
ちなみに、ちょっと前にアメリカで騒がれた「サルの自撮り」の写真は、アメリカの判断と同様に、日本でも著作権は発生しないということになった可能性が高いと思います。
ところが、AI(人工知能)がさらに発達し、人間が創作したものと大差ないもの(詩、曲、小説、デザイン等)が作られるようになったらどうするのか?という問題が出てきました。
サルでは、人間が撮ったものと同じような写真が偶然に撮れる程度ですが、AIを使うと短期間で人間が創作したものと同じようなものが大量にできるようになるかもしれません。
そうすると、次のような疑問が湧きます。
- このようにして創作された著作物が、AIが作り出したものだから著作権は存在しないとすると問題が生ずるのではないか?
- また、AI自体は楽器やカメラと同様に単なる道具であって、「AIを使っている人」がAIが作成した著作物の著作者になるのではないか?
このような考え(疑問)について、現在知的財産戦略本部 次世代知財システム検討委員会で議論されているようです。
最終的にどのような形にまとまるかは分かりませんが、この委員会での審議次第では著作権法を改正するということになるかもしれません。
この委員会の審議を今後もフォローしていきたいと思います。
しかし、科学の進歩はいろいろなところに影響を及ぼすものですね。
今日は以上です。