ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料12
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、実施料率(ロイヤルティ料率)を決める際に役立つ資料(知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書)をご紹介します。
ライセンス契約の交渉をやっていて一番悩むところは、実施料率を決めるところではありませんか?
「対象製品は交渉相手が製造・販売しているので、その製品の利益率は分からないし、ましてや対象知的財産権がどの程度その製品に貢献しているかもわからないし。。相場が分かればな~。」と悩まれている方がかもしれません。
このようなときに、役立つ資料として特許庁がまとめた「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」を参考にしてみては如何でしょうか?
この報告書には、技術分類別ロイヤルティ料率が掲載されています。
具体的には、例えば化学分野ではロイヤルティ料率の平均が「4.3」となっています(P52の表Ⅱ-3参照)。
さまざまな前提条件が考慮されている数値ですので、これがロイヤルティ料率の”相場”とは言えないかもしれませんが、多くの企業の協力を得て算出されたものですので、実際のライセンス契約のロイヤルティ料率を算定する際の根拠の一つにはなり得ると思います。
是非活用してみてください!
また、この他に、商標権に関する分類別ロイヤルティ料率や、プログラム著作権別のロイヤルティ料率等も記載されているので、この点でも非常に役立つ資料だと思います。
ちなみに、この資料のうち、ロイヤルティ料率に関する部分については、書籍化されていますので、このの本を購入してもいいと思います。
なお、一点付け加えるとすると、実際のライセンス契約のロイヤルティ料率を決める際には、”何の価格(売上)”にロイヤルティ料率をかける(乗ずる)のかという点を忘れないでください。
ライセンス契約の交渉をしている時に、ロイヤルティ料率の話をすると、その数値のみが独り歩きをしてしまい、”何の価格(売上)”にそのロイヤルティ料率をかけるのかがおろそかになってしまうことがあります。
そして、契約当事者間で都合の良いように解釈して、交渉段階ではまとまったように思えたのに、契約書の段階なって初めて問題が顕在化し、結局交渉がまとまらなかったということになってしまうかもしれません。
ロイヤルティ料率の話をするときは、ロイヤルティ料率をかける対象もセットで一緒に話しましょう。
弊所では、ライセンス契約に関するご相談も承ります。
ライセンス契約等に不安がある方は、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。