無料素材サイトからダウンロードした画像データを使ったら著作権侵害?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
先日、無料素材サイトからダウンロードした画像データを使っていても著作権侵害になるという判決が確定したので、それについて書きます。
判決によると、有料の画像データが無断で無料素材サイトに掲載されていて、その画像を被告がHPに使用していたという事案で、
被告は、
- 無料素材サイトからダウンロードした画像データなので、著作権フリーの素材と誤信していた。
- 無料素材サイトからダウンロードした画像データについて著作権等について調査義務があるとすると、そのような素材を事実上使用することができなくなり、表現の自由が〔憲法21条〕が侵害される。
と主張したようです(正確な表現は、判決書で確認してください。)。
これに対し、裁判所は、
- その素材が使われたHPを作成した従業員の経歴等(ホームページを作成する会社に勤務していたこと等)を考慮すると、著作権等の侵害を起こす可能性があることを十分認識しながら、あえてそのような素材を使用したと考えるのが妥当であって、少なくとも未必の故意*があったと認める。
- 権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは、著作権等の侵害をする可能性がある以上当然である。
と判断しています(その他の論点についても判断していますので、詳細は判決書で確認してください。)
*未必の故意:結果の発生を認識しながらそれを容認して行為するという心理状態(引用:ウィキペディア)
このような裁判所の判断からすると、無料素材サイトの素材を使ってHPを作成することはリスクが高いことになります。
ちなみに、そのHPを作成した者が著作権法に詳しくないという言い訳も難しいということになります。
無料素材サイトの画像データだから安心!というわけではないことに注意しましょう!
ちなみに、被告が法律のプロである弁護士法人であるというのも何とも言えません。
なお、この裁判では、争われませんでしたが、事案の内容に入る前に、通常①対象が著作物であるか?、②著作権者は誰か?ということが争われることが多いです。
著作権等の侵害訴訟では、これを立証することが大変です。この場合に役立つのが、著作権登録制度です。
本当に価値があると思われる著作物でしたら、著作権登録をしておいた方がいいと思います。著作権等の侵害訴訟で争う時に役立ちます。
著作権登録について、何かありましたら弊所に是非相談ください。
弊所では、著作権登録手続代理も行っております。
今日は以上です。