ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料3
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料をご紹介いたします。
以前のブログにも書きましたが、ライセンス契約書を作成する場合には、独占禁止法についても考慮する必要があります。
その際に役立つ資料として、「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」をご紹介いたします。
この指針は、以前の「特許・ノウハウライセンスガイドライン」を改定したもので、対象となる権利を特許・ノウハウから技術に関する知的財産権一般に広げると共に、ライセンスの拒絶についても記載しています。
具体的には、まず市場の考え方や競争行減殺効果の分析方法について説明した上で、次の考え方を解説しています。
- 私的独占及び不当な取引制限の観点からの考え方
- 不公正な取引方法の観点からの考え方
この指針はやや曖昧な部分もありますが、独占禁止法を管轄している公正取引委員会の公式見解になりますので、ライセンス契約に関係する方は、是非一読することをお勧めいたします。
たとえば、「ライセンサーがライセンシーに対し、ライセンシーが開発した改良技術について、ライセンサー又はライセンサーの指定する事業者にその権利を帰属させる義務、又はライセンサーに独占的ライセンス(注19)をする義務を課す行為は、技術市場又は製品市場におけるライセンサーの地位を強化し、また、ライセンシーに改良技術を利用させないことによりライセンシーの研究開発意欲を損なうものであり、また、通常、このような制限を課す合理的理由があるとは認められないので、原則として不公正な取引方法に該当する。」としています。
そこで、ライセンス契約書を作成する場合には、まずはこのガイドラインで独占禁止法に該当するとされた条項を入れないようにした方がよいでしょう。
ただし、この指針は、あくまで公正取引委員会の見解であり、判例等とは違いますので、今後の裁判の動向次第で、この指針とは違った実務になる可能性がある点にご留意ください。
なお、ライセンス契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。
今日は以上です。