パリ条約について・・・優先権制度について
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
昨日に引き続き、今日もパリ条約の3大原則のひとつ、優先権制度(条約4条)について書きます。
パリ条約の優先権とは、同盟国にされた最初の出願に基づいて優先権を主張して、他の同盟国に後の出願をしたときに(新規性や進歩性などの判断に関し)後の出願に最初の出願時に出願したものと同様の取り扱いを認める権利をいいます。
この制度は、複数の国に出願するときに、各国の言語に翻訳したり、各国毎に異なる手続きを行う必要があり、出願人の負担が大きくなるため、このような負担を減らすために設けられました。
優先権を主張することにより、例えば、同盟国Aに特許出願をして、優先権を主張して、同盟国Bに後の出願をした場合に係る出願の新規性や進歩性の判断は同盟国Aの出願日を基準に審査してもらうことができます。
優先期間は、特許、実用新案については12か月、意匠、商標については6月です。
なお、国内優先権制度という制度がありますが、こちらは、日本国内において、最初に出願した特許・実用新案登録出願を基礎として優先権を主張して、(先の出願の日から1年以内に)後の出願をした場合に、先の出願の当初明細書等に記載された発明について先の出願の時にされたものとみなすことを主たる内容とする制度です。
パリ優先権の趣旨と異なり、基礎発明を含む一連の改良発明を包括的に漏れなく保護することを目的としている点が異なります。
今日は以上です。