商標の国際登録出願(マドプロ出願)の概要
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
先日、お客さんから、海外における商標取得に関する質問を受けましたので、今日は商標の国際登録出願(マドプロ出願)の概要について書いてみようと思います。
日本の商標権は日本国内でしか効力を発揮できません。したがって、外国で商標を使用するのであれば、その国で商標権を取得する必要があります。
各国毎に商標出願する方法もあるのですが、マドプロという制度を利用して出願する方法もあります。
この制度は、日本の特許庁に出願又は登録されている商標について、一定条件下、指定したマドプロの加盟国で商標の保護が受けられる制度です。
ちなみに2013年8月時点でのマドプロ加盟国は91ヵ国です。
この制度の主な特徴としては次のようなものが挙げられます。
メリット:
手続きが簡単(一つの手続きで複数の加盟国を指定可能。英語で手続き可能で各国別の翻訳不要)
費用が安い(出願のときに現地代理人費用不要)
権利の維持管理が楽(更新や名義変更など一元管理可能)
登録までの時間が早い
指定国の追加も後から可能
デメリット:
カナダやアジアの複数の国(台湾、香港、インドネシア、タイなど)は現時点ではマドプロに加盟しておらず、制度の利用ができない
出願する商標は、日本で商標出願中か商標登録済みであることが必要
・・商標の同一性が求められる。また、指定商品・役務の範囲が基礎出願・登録の指定商品・役務の範囲内であることも求められる
セントラルアタックの危険性
・・国際登録日から5年間は、基礎となる日本の出願が拒絶されたり、登録が無効にされた場合には国際登録も取り消されてしまう。
複数の国に出願する場合には、メリット、デメリットを考慮した上でマドプロの利用を検討してもよいかと思います。
今日は以上です。