「矢場とん」商標事件をふり返る
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
先日、みそかつの「矢場とん」に初めて行き、名物の「鉄板とんかつ」を食べてきました。
「矢場とん」といえば、1947年創業の名古屋の老舗みそかつの店です。私が行ったのは名古屋ではなく、東京の店舗です。
この「矢場とん」ですが、5年位前(2008年)に商標事件で有名となりました。私はその時の記憶がありましたので、店に入ってみようと思ったわけです。
さて、商標事件ですが、これは韓国が舞台となりました。
画像は日本の矢場とんの店舗ですが、韓国で「矢場とん」の模倣店が出現したことが事の発端でした。
この模倣店、豚のキャラクター及び「YABATON」という名称も同じで、創業年「1947」の数字も使っていたそうです。さらに、ホームページ上で、「名古屋まで行かなくても韓国で食べられる」とうたい、名古屋の本店と関係があるかのように宣伝していたそうです。
さらに都合の悪いことに、豚のキャラクターと矢場とんの文字に関する商標は、模倣店によって商標出願され公告されていました。
本家「矢場とん」は、WIPOの情報によりこの事実を知り、韓国特許庁に異議申立をしましたが、韓国では有名な商標ではないということで、異議は認められませんでした。本家は韓国の公正取引委員会に弁護士を通じて刑事告発を求める申し入れを行うなどの動きをとりました。
その後、本家と模倣店は交渉により和解に至りました。模倣店は本家に商標権を譲渡し「YABATON」の看板を下ろすことなどで合意しています。
この事件を通じて思うのは、日本である程度有名な商標は、海外で模倣されるリスクに常にさらされているということを、認識しておく必要があるということです。やはり、早めに権利を取得しておくことが大切ですね。
今日は以上です。