ダンスの振付と著作物性について考える
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
先日、弁理士会の著作権実務者研修を受けて参りました。
「著作物性」というテーマでのグループディスカッション形式の研修講座でしたが、その中でダンスの振付の著作権に関する判例紹介がありました。その判例とは「Shall we ダンス? 事件」です(東京地裁H24.2.28)。
ということで、今日はダンスの振付について書いてみたいと思います。
ダンスの振付にも著作権があることをご存知でしょうか。
著作権法10条1項3号には、著作物の例示として「舞踊又は無言劇の著作物」が記載されています。
ダンスの振付は「舞踊」に含まれます。ちなみに、パントマイムの振付は「無言劇」に該当します。
ダンサーやパントマイミストなどのアーティストについては、著作物を伝える人の権利ともいうべき”著作隣接権”が認められます。
では、上述の「shall we dance? 事件」のダンスの振付の著作物性はどのように判断されたのでしょう。
この事件は、映画「Shall we ダンス?」のダンスの振付をした舞踏家の、わたりとしお氏が「無断でテレビ放映やDVD化など二次利用され、著作権を侵害された」として、映画を製作した「角川映画」に損害賠償を求める訴えを起こしたというものです。
裁判では、社交ダンスの振付について、下記のように判断し、著作物性を否定しています。
【既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには、それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。】
しかし、ありふれたものではない創作性が認められる振付であれば著作権で保護されることになります。
例えば、「ベジャール事件」(東京地裁H10.11.20)では、自分の振付のバレエを無断で上映されたと主張するフランス人舞踏家の主張を認め、バレエの振付に著作物性を認めています。
いずれにせよ、著作物性の有無の判断は難しいな、と思いますが。
今日は以上です。