マンションの名前を商標登録できるか? 今話題の「富久クロス」を事例をみてみよう
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
最近、不動産の広告が目につくようになってきました。別に意識しているわけではないのですが、新聞、チラシ、電車内に至るまで、不動産の広告であふれかえっているため、いやでも目に入ってきます。
この前の金曜日の新聞には、「金曜」という曜日も関係しているのでしょうが、マンションの広告がなんと6件も掲載されていました。いずれも、結構広いスペースを使用した広告で、3件はカラーの一面広告でした。
全国紙の一面広告だと広告費も高額でしょうから、不動産業者の力の入れ具合が分かりますね。増税前の駆け込み購入を見越しているのでしょう。
ところで、マンションの名前は商標登録できるのでしょうか?
これはよくある質問です。
商標法において「商品」とは、独立して商取引の対象となる流通性のある有体動産と解釈されています。したがって、マンション(建物)は不動産であるため、商標法上の「商品」には該当せず、「マンション」という商品を指定して商標登録することはできません。
では、マンション名は商標法で保護することが全くできないのか、というと、そういうわけでもありません。
野村不動産や積水ハウスなどが共同で販売する今話題のマンション「富久クロス」を例にあげて見てみましょう。
「富久クロス」は新宿御苑に建設中の、なんと地上55階建の超高層マンションです。
(参照:http://www.proud-web.jp/mansion/tomihisa/)
特許電子図書館で調べてみると、画像の態様の商標が、第36類の役務「建物の管理、建物の賃借の代理又は媒介、建物の売買・・・etc.」を指定して商標登録されています(登録No.5607197)。
マンションの名前は、「富久クロス」の例のように、建物や土地の管理や売買などの分類である第36類、あるいは、建築工事一式の分類である第37類を指定して商標権が取得されることが多いです。
マンションは不動産とはいえ、実際にはブランドとして顧客吸引力を有する場合もあるわけですから、役務(サービス)を指定して商標登録しておくことが望ましいです。
今日は以上です。