料理のレシピの知財保護を考える・・・著作権の保護対象?それとも特許権?
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
よく意外だと言われるのですが、私は結構料理が好きです。月1回通っている料理教室も今年で3年目を迎えました。世の流れなのか、年配の男性のみならず若い男性の受講生も多いです。
今日はそんな料理のレシピの法的保護について考えてみたいと思います。
例として「かつおだしの取り方」のレシピを見てみましょう。
【鍋に3カップの水を入れて火にかけ、沸騰したらけずりがつお10グラムを入れる。再び沸騰したら火を止める。1~2分おいて、こす。】
これは一番単純なレシピですが、手の込んだ料理のレシピであっても、材料・分量・作り方の手順が説明されているという点では大体共通しています。
ではレシピは著作権で保護されるのでしょうか?
著作物であるには、思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要です。
しかし、「かつおだしの取り方」のレシピの例のように、レシピは一般には単なる料理の手順の説明文にすぎず、著作物とは言えないと思います。
自分が新しく考えたオリジナルレシピだから著作物だ、と考える方もいるかもしれませんが、よほど表現に創作性があると認められない限り、著作権の保護対象外となるでしょう。
次にレシピが特許の保護対象になるかどうか、ですが、レシピの表現そのものではなく、調理方法としてであれば、一定要件下で特許権を取得できます。
調理方法の特許の事例は、弊所ブログでも紹介されていますので、ご参照ください。
しかし、調理方法について特許が取れるとしても、秘伝のタレなど、絶対に公開したくないレシピであれば営業秘密としてきっちり管理すべきでしょう。
特許権を取得するということは情報が公開されるということを意味します。
コカ・コーラのレシピは最高機密として厳重に金庫に保管されているというのは有名な話です。秘密にすることにより、他社に真似されることなく、市場における優位性を長期に亘り保つことができるのです。
もちろん、営業秘密にする以上は、限られた社員以外には公開しないなど、厳重な管理が必要となりますが。
今日は以上です。