インテリアデザインは、デザインを保護する意匠法の保護対象か?
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
先日、不動産運用会社に勤務する友人と話していて、面白い話を聞きました。
その友人は、不動産の資産価値を高めるためのリフォームやリノベーション業務に携わり、玄関のタイルから部屋の設備変更に至るまでクリエイティブな感性が求められる仕事をこなしています。
彼女の話によると、水商売の方を集客するために、部屋の壁の色をピンクに変えたところ、すぐに借り手が見つかったそうです。予想と異なり女性ではなく、男性のホストだったそうですが。。
また、部屋の構造上、なかなか借り手のないマンションであっても、モデルルームのインテリアの見せ方次第では、すぐに借り手が見つかるそうです。
この事例によると、壁の色や家具、照明などの室内環境デザインとも言うべきインテリアデザインは、住む場所の決定という一大イベントに大きな影響を及ぼすものだということが分かります。
ところで、意匠法は一般にデザインを保護する法律と言われていますが、インテリアデザインは果たして意匠法で保護されるのでしょうか?
答えはNoです。意匠法は保護すべき意匠を、「物品の形状等であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの」と定義しています(2条1項)。
インテリアデザインは「物品」ではないため、上記の定義に当てはまらず、意匠法では保護されないということになります。
しかし上述のとおり、インテリアデザインは需要者の部屋の決定に実際に影響を及ぼします。また、デザイン産業の産業活動の成果物であり、産業の発達に寄与しているという側面もありますので、意匠法の保護対象から外さなくてもよいという見解もあるようです。
ちなみに、部屋の空間を構成するソファー、ベッド、照明器具などの個々の物品については、意匠法で保護することが可能です。また、全体として統一のある「一組の応接椅子セット」など、一定要件を満たせば複数の物品であっても「組物」の意匠として登録を受けることも可能です。
デザインの問題については、今後も考えていきたいと思います。
今日は以上です。