食べるのも命がけ?「餅」の新しいカタチ
こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
今年も、年明け早々、餅による窒息死亡事故の報道がありました。亡くなられた方の多くは、お年寄りです。
高齢になると、咀嚼力が衰えてくることもありますが、餅の特性として、餅の表面温度が体温に近い40度以下になると固さが増すとともに付着性が増すことも事故の要因となっているようです。
調理後の熱い餅でも、口に入れると体温に近い温度となり、固くなり、喉に張り付いてしまうということです。
(参照:http://www.caa.go.jp/safety/pdf/131218kouhyou_1.pdf)
しかし、日本に生まれ育った人ならば、正月に餅は欠かせませんね。
今日は、そんな餅の技術について調べてみました。
いままで出願された餅に関する技術を見てみると、喉に詰まらせないように、もち米に寒天やコンニャク粒など他の食材を混合して加工する餅食品の製造方法や、噛み切り・飲み込み易くするために、餅に孔をあけて形状に工夫を施した餅に関するものが公開されていました。
この中で、シダックス株式会社の餅食品に関する特許(登録第4960335号)を見てみましょう。
請求項1の内容は次のようになっています。
咀嚼や嚥下が餅よりも容易であるようにテクスチャーが改善された餅食品であって、もち米、ジャガイモ、および水を原料として含有する生地からなり、前記ジャガイモはジャガイモ粉末として添加され、前記ジャガイモ粉末は、洗浄したジャガイモの皮をむき不良部分を取り除いた後、1cm程度の厚さに切断し、熱湯中で茹でた後、冷水中に浸して冷却し、そのまま暫く冷水中に晒すことにより熟成させ、蒸し器で蒸した後、潰して、含水率が概ね8%以下になるまで乾燥し、得られた乾燥粘土状のイモを粉砕して粉末状にすることにより得られたものであることを特徴とする餅食品。
小難しく書かれていますが、要するに、もち米にジャガイモ粉末を添加して加工した餅食品に関する特許です。
この餅食品は、「やわらかマザーフードもち」として実際に販売されています。権利者のシダックスのホームページをみると、高齢者が食べやすいよう、箸でも切れやすく、伸びにくく、軟らかく仕上げていると記載されています。味の方はどうなのでしょうね?気になります。
(参照:http://www.shidax.co.jp/service/03_03.html)
ちなみに、「やわらかマザーフード」はシダックスの登録商標です(登録第5366088号)。
私は、まだ「やわらかマザーフード」にお世話になってはいませんが、今年はいつになく、餅を食べるときに、喉に詰まらせないよう真剣な気持ちで食べています。
今後も、餅に関する新しい技術は開発されていくことでしょう。自分が高齢者になったときに、一体どうなっているのか興味あります。
今日は以上です。